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擲つ
「擲つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
擲つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
《なげう》つ。球は上へ上へとのぼる。しばらくすると落ちて来る。彼等はまた球を高く
擲つ。再び三度。
擲つたびに球は落ちてくる。なぜ落ちるのか、なぜ上へ上へとのみのぼ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ぜ。」 ツンと横を向く、脊が屹と高くなった。引かなぐって、その手巾をはたと地に
擲つや否や、裳を蹴て、前途へつかつか。 その時義経少しも騒がず、落ちた菫色の絹....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
を投附ける。宮浜。」 と声を揚げた。廊下をばらばらと赤く飛ぶのを、浪吉が茱萸を
擲つと一目見たのは、矢を射るごとく窓硝子を映す火の粉であった。 途端に十二時、....
「一つの芽生」より 著者:宮本百合子
でないどこかの家に生れて、食べる物もなければ、着るものもなく、何かといってはすぐ
擲つような親の子になったら、どんなに情けなかったろう。 そして、死んでから生れ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
着、鰭のごときひらひら足袋。件の竹の小笠に、面を蔽いながら来り、はたとその小笠を
擲つ。顔白く、口のまわり、べたりと髯黒し。蟹、これを見て引返す。 鯉七 (ばくば....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
だから新物理学は、人々に、機械論的決定論を、従って又機械論的必然性と偶然性とを、
擲つことを強制する。要するに夫は機械論の放擲を命じているのである。で吾々は機械論....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
辞さねばならぬ大義名分があるとすれば、同様に之を勅選に奏請した臣下は一切の栄職を
擲つべきだろう。なぜなら奏請する以上はこの学者の学説とその学術上の影響とを国家の....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
り高い所を、ずるずると引いて、美しい女の前を通る。 幕に、それが消える時、風が
擲つがごとく、虚空から、――雨交りに、電光の青き中を、朱鷺色が八重に縫う乙女椿の....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
が、たまたま咽喉を病み、演説や説教を医師から厳禁されたので、止むなく永久に教職を
擲つこととなった。彼のロンドン生活はそれから始まったのである。 彼がロンドン大....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
やめるし、虚子氏は、写生的の文章専門となって、ホトトギスこそ経営すれ、俳句は全く
擲つ事になった。それから碧梧桐氏は別に新傾向の句風を起す事になって、これに属する....
「多神教」より 著者:泉鏡花
|凄まじく、荒波の響きを交う。舞台暗黒。少時して、光さす時、巫女。ハタと藁人形を
擲つ。その位置の真上より振袖落ち、紅の裙翻り、道成寺の白拍子の姿、一たび宙に流れ....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
として物凄く山谷に響きわたって、倒さに銀河を崩すに似ている飛泉に、碧澗から白刃を
擲つように溌溂として躍り狂うのであるから、鱒魚の豊富な年ほどそれだけ一層の壮観で....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
は実に一生懸命になってその霰を防ぐことに従事するのです。
修験者防霰弾を虚空に
擲つ
時に油然として山雲が起って来ますと大変です。修験者は威儀を繕い儼乎たる....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
ム親方と十兵衛とは相撲にならぬ身分の差い、のっそり相手に争っては夜光の璧を小礫に
擲つけるようなものなれば、腹は十分立たれても分別強く堪えて堪えて、誰にも彼にも欝....
「一人舞台」より 著者:ストリンドベリアウグスト
をさせられたのは、お前さんが鬱金香を好いているからだわ。それから。 (上沓を床に
擲つ。) 夏になるとメラルへ行っていなくてはならないのも、お前さんが海が嫌いだか....