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攫
「攫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
攫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ば迂闊《うかつ》な近江商人《おうみあきゅうど》が、魚盗人《うおぬすびと》に荷でも
攫《さら》われたのだろうと、こう私は考えましたが、あまりその騒ぎが仰々《ぎょうぎ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ば》近く来たれるとき、やにわに左手《ゆんで》を抗《あ》げてその高髷《たかまげ》を
攫《つか》み、 「ええもう重っ苦しい。ちょっうるせえ!」 暴々《あらあら》しく....
「初めて見たる小樽」より 著者:石川啄木
る。年若く身は痩《や》せて心のままに風と来り風と去る漂遊の児であれば、もとより一
攫千金《いっかくせんきん》を夢みてきたのではない。予はただこの北海の天地に充満す....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たので、きょとんとして立つ処を、横合からお源の手が、ちょろりとその執心の茶碗を掻
攫って、 「失礼だわ。」 と極めつける。天下大変、吃驚して、黙って天秤の下へ潜....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
込んでいる、なかまが二人、一人は検定試験を十年来落第の中老の才子で、近頃はただ一
攫千金の投機を狙っています。一人は、今は小使を志願しても間に合わない、慢性の政治....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
から手を取りなすった、門附のそのお方。 私はな、よう覚悟はしていたが、天狗様に
攫われるかと思いましたえ。 あとは夢やら現やら。明方内へ帰ってからも、その後は....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
えて、 「はい、はい。」と返事をした。が、界隈の荒れた卵塔場から、葬礼あとを、引
攫って来たらしい、その提灯は白張である。 大屋は、カーンと一つ鉦を叩いて、 「....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
「そのかわり大まかなものだよ。店の客人が、飲さしの二合|壜と、もう一本、棚より引
攫って、こいつを、丼へ突込んで、しばらくして、婦人たちのあとを追ってぶらりと出て....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
楽多文庫売上の暮近い集金の天保銭……世に当百ときこえた、小判形が集まったのを、引
攫って、目ざす吉原、全盛の北の廓へ討入るのに、錣の数ではないけれども、十枚で八銭....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
んで、それをちぎって釣る時分は、浮木が水面に届くか届かぬに、ちょろり、かいず奴が
攫ってしまう。 大切な蝦五つ、瞬く間にしてやられて、ごうなになると、糸も動かさ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ある。一部の人間共は、飲酒の為めに、前後不覚の昂奮状態に陥って居る。他の一部は一
攫万金を夢みて、熱病患者の如く狂いまわって居る。他の一部は一切の資産を失って、絶....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
。 「この近所にいらっしゃりはしないか? 香港の警察署の調べた所じゃ、御嬢さんを
攫ったのは、印度人らしいということだったが、――隠し立てをすると為にならんぞ」 ....
「初雪」より 著者:秋田滋
せるような男でもなかった。家へ帰って来ると、二匹の犬のほうがかえって彼女の愛情を
攫ってしまうのだった。彼女は毎晩、母親のように、優しく犬の世話をした。暇さえあれ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
いで、解けて頸から頬の処へ、血が流れたようにベッとりとついている。 親仁は流に
攫われまいと、両手で、その死体の半はいまだ水に漂っているのをしっかり押えながら、....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
すかね。) (ははは、御串戯もんだ。) (別嬪が居て御覧じろ、米一升のかわりに引
攫っちまう。) と笑いながら、さっさと行きます。 はぐらかすとは思えません。....