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「攫う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

攫うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、余程身に沁みた不気味さに違いない。 女房は行きがけに、安手な京焼の赤湯呑を引攫うと、ごぼごぼと、仰向くまで更めて嗽をしたが、俥で来たのなどは見た事もない、大....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
いと思う。」 「信や……絵の具皿を引攫っておいで。」 「穏かでない、穏かでない、攫うは乱暴だ、私が借りる。」 胡粉に筆洗を注いだのですが。 「画工でないのが口....
露肆」より 著者:泉鏡花
砕いて、飛上るように衝と腰を軽く、突然ひょいと隣のおでん屋へ入って、煮込を一串引攫う。 こいつを、フッフッと吹きながら、すぺりと古道具屋の天窓を撫でるかと思う....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
の傍へ行って臭いを嗅ぐ。世間の猫はコソコソ忍び足で近づいては、油断を見済まして引攫うものだが、二葉亭の猫は叱られた事がないから恐いという事を知らない。鷹揚にノソ....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
!」 「よかろう」と集五郎はヘラヘラ笑い、「嘘だ嘘だと思うがいい。その中我らひっ攫う」 「云え!」と小一郎の凄じい声! 「云え云え云え、どこにいる!」 「ある所....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
武者の鎧を引っ剥いでも、相当の儲けはあるだろう」 「逃げまどう落城の女どもを引っ攫うのもいいだろう」 突然一人が歌い出した。 ※人買船の恐ろしや するともう....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
に応じた。 「うん、まったく変梃だなあ。なんと思って選りに選って、船大工ばかりを攫うのだろう」 二人の職人の耳寄りな話 「はてな」 と平八は胸でいった....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の原野のいずれにあるということなどが認められようはずがありません。 鷲が人間を攫うということはいつも聞いている――もし不幸な人間の子が――もしや、米友さん――....
魔都」より 著者:久生十蘭
いる地図を引きちぎってポケットに納め、本棚の上に置いてあった小さな手携電燈を引ッ攫うと、物もいわずにその家を飛び出し、家の前でタクシイを拾って銀座の松坂屋の前に....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
んは、どうあっても、この娘を、この家から攫《さら》っていこうというのかい?」 「攫うも攫わねえも、大たい、婆さんと何のかかわりもねえこった」 「ふうん、えらそう....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
べき行為が浄められるものだと云う様な感じを持って居た。 大病が自分を一瞬に引き攫う事も、天災が此の村全体を無に帰させて仕舞えばと云う事も真正直に望まれる事であ....
私たちの建設」より 著者:宮本百合子
より少い、より僅かしか儲けなかった人に課せられる税は、率は少くても利潤の大半を引攫うものであろうが、それに対しては猶予はないのである。彼等の戦時利得の規模は、不....
魚紋」より 著者:吉川英治
が、今度はもらったぜ』 一局、勝敗がついたとみえ、盤の下にかくしてある賭金を、攫うように懐中へしまいこんで、 『――何うだな、其っ方の風雲は』 云いながら、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
は止みますまい。なにせい、戦に勝った驕兵です。酒をさがし出す、財物を掠める、女を攫う。わけて、女|漁りはひどいそうで」 「ここの兵もか」 「その欲望|一途な餓鬼....
私本太平記」より 著者:吉川英治
く、おそらくは足利方の武将が、各※、駒の前ツボに本院と新院のおからだを抱え、引ッ攫うように、霧の中を、八幡へさして、飛ばしたのではあるまいか。 いずれにしろ、....