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放つ
「放つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
、部屋に拡がった暮色の中には、その三毛猫の二つの眼が、無気味な燐光《りんこう》を
放つほかに、何もいるようなけはいは見えなかった。……………
横浜。
日華洋....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
》、大場重玄をまん中に立たせ、清八、鷹をと御意ありしかば、清八はここぞと富士司を
放つに、鷹はたちまち真一文字《まいちもんじ》に重玄の天額をかい掴《つか》みぬ。清....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
聞かぬのも不思議はない。女人《にょにん》に愛楽を生ずるのは、五根《ごこん》の欲を
放つだけの事じゃ。が、謀叛《むほん》を企てるには、貪嗔癡《どんしんち》の三毒を具....
「或る女」より 著者:有島武郎
しい廃園の姿を目の前に広げていた。可憐《かれん》な花を開いて可憐な匂《にお》いを
放つくせにこの灌木《かんぼく》はどこか強い執着を持つ植木だった。寒さにも霜にもめ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て挟んだ書物の、背のクロオスの文字が、伯林の、星の光はかくぞとて、きらきら異彩を
放つのを、瓢箪式に膝に引着け、あの右角の、三等待合の入口を、叱られぬだけに塞いで....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
た(一八一一年)。彼の観測した星雲の中に極めて漠然とした緑色がかった蛍光様の光を
放つものがあった、これが原始状態であると彼は考えた。そうしてスペクトル分析の結果....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
り、手箱にこれを蔵すれば、宝玉そのものだけの価値を保つ。人に与うる時、十倍の光を
放つ。ただ、人に見せびらかす時、その艶は黒くなり、その質は醜くなる。 美女 ええ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
途に、ばりばりと月に凍てた廻縁の総硝子。紅色の屋号の電燈が怪しき流星のごとき光を
放つ。峰から見透しに高い四階は落着かない。 「私も下が可い。」 「しますると、お....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の胸へ顕著に帯した。 いずれも若い、三十|許少に前後。気を負い、色|熾に、心を
放つ、血気のその燃ゆるや、男くささは格別であろう。 お嬢さんは、上気した。 ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
うべき次第であるまい。 そこで、卓子に肱をつくと、青く鮮麗に燦然として、異彩を
放つ手釦の宝石を便に、ともかくも駒を並べて見た。 王将、金銀、桂、香、飛車、角....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
て、彼方此方、同じ処を四五|度も、およそ二三里の路はもう歩行いた。 不祥な言を
放つものは、曰く厠から月に浮かれて、浪に誘われたのであろうも知れず、と即ち船を漕....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
嬲るようなもんじゃあないか。女の癖に、第一失敬ださ。」 と、声を鋭く判然と言い
放つ。言葉の端には自から、かかる田舎にこうして、女の手に養われていらるべき身分で....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
ばかりの仕誼、わけを知ってるだけに、ひがみもあれば気が怯けるのに、目の前に異彩を
放つ山河内の姫が馬車に積んで来た一件物、お夏はまた一倍肩身が狭くなるのであった。....
「活人形」より 著者:泉鏡花
として姉妹が慕い斉眉物なれば、宇宙の鬼神感動して、仮に上※の口を藉りかかる怪語を
放つらんと覚えず全身|粟生てり。まして得三高田等は、驚き恐れつ怪しみて、一人立ち....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
ね。』 釣り場は、僅数町の上流なるにぞ、間も無く漕ぎ着きぬ。漁史は、錨綱を繰り
放つ役、船頭は※鈎尖の漂う加減に舟を停めぬ。日光水面を射て、まぶしさ堪えがたかり....