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放り出す
「放り出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放り出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
風呂敷の四隅を攫《つか》んで、濛々《もうもう》と湯気の立つやつを床《ゆか》の上に
放り出す。赤銅《しゃくどう》のような肉の色が煙の間から、汗で光々《ぴかぴか》する....
「豚群」より 著者:黒島伝治
あった。それに、前月分も半分は向うの都合でよこしていなかった。今、一文も渡さずに
放り出すのは、あまりに悪辣である。健二は暫らく杜氏と押問答をしたが、結局杜氏の云....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
、五十機は見えたがね、それが大体五百メートルぐらいにつっこんで来て、何かをぽいと
放り出すんだ。と、落下傘が開いて、そのものがふわふわと暖かい海面へ落ちて行く。何....
「義民甚兵衛」より 著者:菊池寛
ゃ。……(間)……そういったところで、おいそれと名乗って出られるものでない。命う
放り出すのじゃけにのう。が、昔佐倉領の宗五郎様は、自分の命を投げ出して、百姓衆の....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
は容易な業だった。 だから、売込の妨害をされないためだけにでも、五百やそこらは
放り出すべきだ。 それを、下積みの膳立ては、すべて、彼――山崎がちゃんとこしら....
「大脳手術」より 著者:海野十三
。忽ち人の波が私たちの方へ殺到した。これはしまったと、私は提灯も懐中電灯もそこに
放り出すと、一目散に暗い小路を突切って、いよいよ暗い方へ逃げ出した。 逃げなが....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
……」 「地球を出発して以来、本艇内には死者が十九名できた。その棺桶だ」 「なぜ
放り出すのか。宇宙墓地へ埋葬するためかね」 「それは偶然の出来事だ。本当の意味は....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
をつかなかった。たしかにそうだきっとそうするに決まっている。おれの襟髪をつかんで
放り出すということは、もう今からその顔色でちゃんと読めるのだ。そこで、おれの心の....
「愚かな一日」より 著者:豊島与志雄
た。 手紙を読んでるうちに、彼の心は次第に明るくなった。読み終ってそれを枕頭に
放り出すと、彼の気分は一種の快い雰囲気に包まれていた。彼女等の派手な衣裳の色彩や....
「道連」より 著者:豊島与志雄
利かないで、頭を打振るばかりである。僕は変に不気味になり出して、それかって彼女を
放り出すわけにもゆかないで、とっとっと足を早めると、彼女は足が痛いと云ってるくせ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
質《たち》が悪い。金をもってると言い寄ってきて、食いつぶしてしまう。そのあとでは
放り出す。まわりにそういう例はたくさん見てきた。そんな目に会いたくはない。」――....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
でも汚そうとするんだな。」と彼は猛然と言いつづけた。「出て行け、馬鹿野郎、窓から
放り出すぞ!」 彼は進み寄っていった。婦人たちはちょっと声をたてて遠のいた。少....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
いから、せッせと物色して目ぼしい物をかきあつめる。 タンスのヒキダシは一ツ一ツ
放り出す。ひッかきまわす。机のヒキダシも、押入れの中のものも放りだしてひッかきま....
「三人の師」より 著者:上村松園
絵をどんどん描いていかれる。すぐに紙がべたべたになる。前と同じように反古に巻いて
放り出す。 一日に五枚も六枚もそうされる。次の日はその乾いたのをとり出して書き....
「それから」より 著者:夏目漱石
》って、タオルで一寸《ちょっと》口髭《くちひげ》を摩《こす》って、それを、其所へ
放り出すと、すぐ客間へ出て、 「やあ兄さん」と挨拶《あいさつ》をした。兄は例の如....