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放漫
「放漫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放漫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
内業者組合の設立について正井がいちばん働いているらしかった。正井という男は、一見
放漫なように見えていて、剃刀《かみそり》のように目はしのきく人だった。その人が玄....
「星座」より 著者:有島武郎
がある。あの男はこうと思いこむと事情も顧みないで実行に移る質《たち》だ。人からは
放漫と思われながら、いざとなると大掴みながらに急所を押えることを知っている。おぬ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
がらまたそろそろ歩き出した。 思考力をすっかり内部へ追い込んでしまったあとの、
放漫なかの女の皮膚は、単純に反射的になっていて、湿気た風を真向きに顔へ当てること....
「縮図」より 著者:徳田秋声
うなことにもならなかったかも知れなかった。 そのころには世の中もかわっていた。
放漫な財政の破綻もあって、財界に恐慌が襲い来たり、時の政治家によって財政緊縮が叫....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
てお待ちになっては……」とも言わないので、それも気になった。 ちょうど政友会の
放漫政策の後を享けて、緊縮政策の浜口内閣の出現した時であった。ふと庸三の耳に総理....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
現代の能楽師の如く流祖代々の鴻恩を忘れて、浅墓な自分の芸に慢心し、日常の修養を
放漫にする。又は功利、卑屈な世間の風潮にカブレ、良い加減な幇間的な稽古と取持で弟....
「碁の手直り表」より 著者:菊池寛
どは、一寸気の利いた手を指すかと思うと、とんでもない悪手をさした。やりっぱなしの
放漫な将棋である。碁もそうした所もあったが、専心研究した甲斐あって、この二三年三....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、無為の遊楽や、柔弱な思想などを好んでいた。彼は天分に豊かであって、時流に投じた
放漫な音楽中にもなお天才の火花がひらめいてはいたけれど、彼の全芸術には右のことが....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ることができるかもしれないけれど、それを否定する者は盲者と言うべきである。現時の
放漫|蕪雑《ぶざつ》な共産主義によって精神的孤立の犯される苦しみ、それ以上の深い....
「乾杯」より 著者:豊島与志雄
のあまり、勝手な計画や策略をめぐらしている様子が、やがて見えてきました。 父の
放漫な暮し方のため、資産状態が可なり危ないことになっているのを、山川正太郎はうす....
「久米正雄」より 著者:芥川竜之介
本郷なる何某と云うレストランに、久米とマンハッタン・カクテルに酔いて、その生活の
放漫なるを非難したる事ありしが、何時か久米の倨然たる一家の風格を感じたのを見ては....
「戦争責任者の問題」より 著者:伊丹万作
際運動であることが、最初から明らかにされていたら、いくらのんきな私でも、あんなに
放漫に名まえの使用を許しはしなかつたと思うのである。 なお、私としていま一つの....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
者たる士流の間にはソンナ説があったものと見える。当時、戯作者といえば一括して軽薄
放漫なる※々者流として顰蹙された中に単り馬琴が重視されたは学問淵源があるを信ぜら....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
。人の噂によると、東京での商売があまりうまくいかず、先祖代々の家業の方も、先代の
放漫政策のたたりやら、この事変のための生産制限やらで、洗ってみれば殆んど何も残ら....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
くれるので、まだ寿命があることと思うていたのであった。 ところがその愛国銀行が
放漫な放資政策を取ったために名古屋で取付けに会い、支払停止の貼紙をせねばならぬこ....