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放肆
「放肆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放肆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
し彼に云わせると、逆上は「体の病」ではない。全く「心の病」である――彼はそこで、
放肆《ほうし》を諫《いさ》めたり、奢侈《しゃし》を諫めたりするのと同じように、敢....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
い養父から、少しずつ心が離れて、長いあいだの圧迫の反動が、彼女を動《と》もすると
放肆《ほうし》な生活に誘出《おびきだ》そうとしていた。
お島は長いあいだ養父母....
「新生」より 著者:島崎藤村
節子の前に置いて見ると可成な嵩《かさ》があった。どうかすると自分ながら驚くばかり
放肆《ほしいまま》な想像――そういうものが抑えに抑えようとしている精神《こころ》....
「家」より 著者:島崎藤村
た。これはそう細いという方でもないが、何処か成島柳北の感化を思わせる心の持方で、
放肆な男女の臭気を嗅ぐような気のすることまで、包まず掩わずに記しつけてある。思い....
「家」より 著者:島崎藤村
な、中年増の妓が傍へ来て、先ず酒の興を助けた。庭を隔てて明るく映る障子の方では、
放肆な笑声が起る。盛んな三味線の音は水に響いて楽しそうに聞える。全盛を極める人が....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
。その苦痛は庸三の神経にも刺さった。デパアトなぞへ来てみると一層心が痛み、自身の
放肆を恥じ怖れた。しかし五月の花のように、幸福に充ち溢れた葉子を見ると、鉛のよう....
「黴」より 著者:徳田秋声
していた。頭も頽れて来たし、懈い体も次第に蝕まれて行くようであった。酒、女、莨、
放肆な生活、それらのせいとばかりも思えなかった。そんなものを追おうとする興味すら....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
の結果、彼は七年ぐらいの刑を受ける。こんな凡俗な智慧を誰が彼へくれたのか。こんな
放肆《ほうし》な精神を誰が彼へ授けたか。こんなものと無二の仲間になるように誰がし....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
田式の精神修養でも何でも出来そうだが、電車は人間を怯懦にし、煩瑣にし、野卑にし、
放肆にする。我々は電車に乗る度毎に礼譲の治外法権を目撃して人間の美性が電車に傷ら....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
ックスフォードでもいちばん高潔でいちばん気前のいいあの自費生――彼の乱行は青年の
放肆な空想のさせる乱行にすぎず――彼の過失はまねのできぬ気まぐれにすぎず――彼の....
「連環記」より 著者:幸田露伴
するものがあるが、右衛門は少しも然様いうところの無い、至極円満性、普通性の人で、
放肆な気味合の強い和泉式部や、神経質過ぎる右大将道綱の母などとは選を異にしていた....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
江戸趣味や向島沿革について話せとの御申込であるが、元来が不羈
放肆な、しかも皆さんにお聞かせしようと日常研究し用意しているものでないから、どん....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
ついて行った。おお、人類の自由な知恵と、科学と、人肉啖食《じんにくたんしょく》の
放肆《ほうし》きわまりなき時代が、まだこのうえに幾世紀も続くだろう。まさしく人肉....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
抜きの恣《ほしいまま》な恵み深い生きやすい道徳――快楽の契約にすぎず、相互交歓の
放肆《ほうし》な連盟にすぎないが、神聖という光輪をまとってみずから喜ぶ道徳、そう....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
なかった。 空想を抑制していたことも、確に鴎外の特徴をなしている。鴎外は空想の
放肆にわたるのを太しく恐れていたのである。しかしそれにもかかわらず、なぜか夢を好....