放蕩[語句情報] »
放蕩
「放蕩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
放蕩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老年」より 著者:芥川竜之介
博多《ちゃはかた》の帯で、末座にすわって聞いているのを見ると、どうしても、一生を
放蕩《ほうとう》と遊芸とに費した人とは思われない。中洲の大将や小川の旦那が、「房....
「或る女」より 著者:有島武郎
、なんとかかとか必ず苦情の持ち上がるべき英国風の小やかましい検疫もあっさり済んで
放蕩者《ほうとうもの》らしい血気盛りな検疫官は、船に来てから二時間そこそこできげ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
の力で防ぎは付かねえ」 治六はきれいに諦めたらしく言っていた。去年からの主人の
放蕩で、佐野で指折りの大家《たいけ》の身上《しんしょう》もしだいに痩せて来た。も....
「弓町より」より 著者:石川啄木
またま以前私の書いた詩を読んだという人に逢って昔の話をされると、かつていっしょに
放蕩《ほうとう》をした友だちに昔の女の話をされると同じ種類の不快な感じが起った。....
「家霊」より 著者:岡本かの子
かった。早く婿取りされて、ちょうど、あなたぐらいな年頃だった。気の毒に、その婿は
放蕩者で家を外に四谷、赤坂と浮名を流して廻った。おかみさんは、それをじっと堪え、....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
かりいだき締めて、力一杯の誠意を見せようとしたこともあるそうだ。思いやると、この
放蕩おやじでも実があって、可哀そうだ。吉弥こそそんな――馬鹿馬鹿しい手段だが――....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
年の心のうつろを見過ごしてただ形の美しさだけを寵した。逸作は世間態にはまず充分な
放蕩児だった。逸作とわたくしは幼友達ではあるが、それはほんのちょっとの間で、双方....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の火事以来である。 行人坂の大円寺に、通称|長五郎坊主という悪僧があった。彼は
放蕩破戒のために、住職や檀家に憎まれたのを恨んで、明和九年二月二十八日の正午頃、....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ちの世話になって、辛うじて雨露を凌いでいた。 その人たちというのは、主に懶惰、
放蕩のため、世に見棄てられた医学生の落第なかまで、年輩も相応、女房持なども交った....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
のある、大な株式会社に、才子で勤めているんです。 その何ですとさ、会社の重役の
放蕩息子が、ダイヤの指輪で、春の歌留多に、ニチャリと、お稲ちゃんの手を圧えて、お....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
要なければここには省く。少年はお蓮といえりし渠の姉が、少き時配偶を誤りたるため、
放蕩にして軽薄なる、その夫判事なにがしのために虐遇され、精神的に殺されて入水して....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
売り、父様がいらっしゃる処も失くなしたし。」 「それは御心配ござりません、貴下が
放蕩でというではなし、御望がおあり遊ばしたとはいえ、大旦那様が迷惑をお懸け遊ばし....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
のごとく、迎えのもの宅より来たりて客あるを告ぐ。そのつぎに、『自分の道楽|子息の
放蕩のやむかやまざるか』をたずねたるに、『やみます』と答えたり。また、その家の前....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ます。だけれど兄であるのを嵩に着て傍若無人の振舞をし続けたり、弟だからとて甘えて
放蕩の仕ほうだいをする。これに対して兄弟姉妹たちは、兄だから、弟だから仕方がない....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
そして相変らず遊んでいました、土人の娘を引張って来たり、西洋人と同棲してみたり、
放蕩のかぎりを尽していたのですが、そういうただれた私の魂にも、一つ忘れられない清....