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故知
「故知〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
故知の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
を制するように言ったのも庄助だ。 「や、また敵が襲って来るそうな。おれは楠正成の
故知を学んでいるんだ。屎合戦だ。」 旧組頭なぞの制することも半蔵の耳に入らばこ....
「大阪を歩く」より 著者:直木三十五
湯の価値も知っている。昆布茶のうまさも知っている。つまり、古今東西の価値を認め温
故知新の人間である。 だから、相当に公平であるが、昆布屋と、飴屋と、鮓《すし》....
「科学論」より 著者:戸坂潤
局物はそのものとしては知ることが出来ない。では、とカント批判者は云うのである、何
故知り得ない物なるものを想定することが出来たか、又その必要がどこにあったか。物そ....
「イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
ロギー論なのであった*。 * 知識はコントに於ては歴史的存在の代表者である。それ
故知識の歴史的三段階は直ちに歴史的存在全体の夫である。この観念主義的なる歴史観が....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
告げているのである(ヒトラーはユダヤ人排斥――実は賠償金踏み倒し――のためにこの
故知をならっている。処が東大国史科の平泉助教授の如きは本気でこの
故知を現代に適用....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
もなく一ペンで清算して了うことが出来たわけだ。禍を転じて福となすという、弁証法的
故知は、正に今日の文部省のために用意されたもののようである。 新総長理学博士松....
「死者の書」より 著者:折口信夫
郡に、昔から残っている幻術師のする迷わしではないか。あまり荘厳を極めた建て物に、
故知らぬ反感まで唆られて、廊を踏み鳴し、柱を叩いて見たりしたものも、その供人のう....
「私の信条」より 著者:豊島与志雄
ちである。進歩発展という意味でではなく、時々刻々の推移変転を私はむしろ楽しむ。温
故知新は私の柄にない。非常冷淡な情けない奴だとも言えるが、また、現在もしくは将来....
「科学上の骨董趣味と温故知新」より 著者:寺田寅彦
して云いたい。新しい事はやがて古い事である。古い事はやがて新しい事である。 温
故知新という事は科学上にも意義ある言葉である。また現代世界の科学界に対する一服の....
「物理的空間の成立まで」より 著者:戸坂潤
のであるから、この場合最大の距離が距離のないことを意味することとなる。生物はそれ
故知覚に於てはともかく、論理的にはこの矛盾を避けることを強要される。従って空間の....
「三筋町界隈」より 著者:斎藤茂吉
うすると浴場には皆女ばかりいる。年寄りもいるけれども、綺麗な娘が沢山にいる。私は
故知らず胸の躍るような気持になったようにもおぼえているが、実際はまだそうではなか....
「母親に憑る霊」より 著者:田中貢太郎
れ」 と云った。それを聞くと父親が、 「お前は、今夜来るくらいなら、死んだ時何
故知らせなかった」 と云うと、 「お父さんやお母さんに知らせると、歎くと思った....
「決闘」より 著者:神西清
浮かんだ。フランス語の話声に入れ交って、彼女の耳のなかでワルツの響きがしはじめ、
故知らぬよろこびに胸がときめくのだった。ダンスがしたくなった。フランス語が話して....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
うものは、作物の上にたなびいていて、読者をしてむせっぽく、息苦しく、時としては、
故知らぬ浮れ心をさえ誘う雲気の様なものに譬える事も出来る。そうした揺曳に気のつく....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
やみに相手の真似ばかりしたがる可笑味のものを演る。理屈なしに下らなく可笑しい。温
故知新というところだろう、まさしくこれなどは。そのあといろいろ間へ挟まる曲芸の、....