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「故里〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

故里の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
いて、なんにも知らないし、知ろうとも、知りたいとも思わない。 ただ、二人でよく故里《ふるさと》鎌倉《かまくら》の浜辺《はまべ》をあるいている夢《ゆめ》をみる。....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
深く差し込んだ手頸《てくび》だけが白く見える。萩に伏し薄《すすき》に靡《なび》く故里《ふるさと》を流離人《さすらいびと》はこんな風に眺《なが》める事がある。故里....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
そうなって百姓は始めて気付いた。――「失敗った!」 彼等は少しでも金を作って、故里の村に帰ろう、そう思って、津軽海峡を渡って、雪の深い北海道へやってきたのだっ....
安重根」より 著者:谷譲次
、早く李剛主筆に会ったほうがいいぜ。一緒に行こう。 安重根 (しんみりと)やはり故里の人間でねえ、僕んところから三里ほどしか離れてないんだが、今度休暇を取って、....
郷愁」より 著者:佐左木俊郎
ら、彼は低声に、哀れっぽい調子をつけて歌ったのであった。 停車場の、地図に指あて故里と 都の距離をはかり見るかな。 私も彼も、大望を抱いて東京へ出て来たのであ....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
堕落であり、罪悪である。ここにおいてわれらは常に失いたる楽園を思慕し、たましいの故里を憧憬し、対立差別の意識を去りて純粋経験の統一せる心境に帰らんことを求める。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ヲ学ビ松ノ葉ヲ食シカツ薜茘《へいれい》ヲ服セリ、一旦|空《くう》ニ騰《のぼ》ツテ故里《ふるさと》ヲ飛過グルトテ、タマタマ婦人ノ足ヲ以テ衣《きぬ》ヲ踏洗フヲ見タリ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
。』 『そいつも気がきかないです。何とかして巴里で一旗上げたいと思うんですが――故里にあおふくろもいますし――。』 『どこかね? 国は。』 『鹿児島です。』 『....
画舫」より 著者:豊島与志雄
とっては、没法子《めいふわーす》という言葉は存在しない筈だ。 あの人は私の心の故里となるだろう。西湖は私の肉体の故里となるだろう。美しい故里を持つことを私の慰....
母たち」より 著者:小林多喜二
のことや色々なことを云った後で、弟は片方の眼だけを何べんもパチ/\させながら、「故里の方はとても吹雪いているんだって。」と云った。するとお前は、「そうだろうな、....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
くして、松阪牛独特の美しいカノコシボリの牛肉が仕上るのだそうだ。どうも本居宣長の故里であり、牛肉まで神話の如くに神秘的だ。 松阪牛というのは、松阪で生れた牛で....
文学に現れたる東北地方の地方色」より 著者:佐左木俊郎
、東北地方の農家の炉端を歌ってよくその地方色を出している詩として、佐伯郁郎君の『故里の爐辺を想ふ』をも見逃すことは出来ない。 「故里の爐辺を想ふと 心が明るくな....
伝通院」より 著者:永井荷風
た昔のままなる賓頭盧尊者《びんずるそんじゃ》の像を撫《な》ぜ、幼い頃この小石川の故里《ふるさと》で私が見馴れ聞馴れたいろいろな人たちは今頃どうしてしまったろうと....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
の月はありしにかはらねど、今宵は藤の花かけにみる 春の夜に秋のもなかの月をみて、故里遠くなれるをそしる 大空の月も汚れを厭ひてや、ラプラタ川の水にやどらぬ 七....
グーセフ」より 著者:神西清
。」 「ふむ、そりゃいい。中尉は図面を引く。君は一日じゅう台所に坐って、くよくよ故里のことを考える。……なるほど図面か。……いや図面どころじゃない。人間の生活の....