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「敗残〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

敗残の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
してそれがわかった時、私はもう二度と人並の生活を送る資格のない、憐むべき精神上の敗残者になるよりほかはなかったのでございます。 再婚の話を私に持ち出したのは、....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
白になった。そこから雪は滾々《こんこん》としてとめ度なく降って来た。人間の哀れな敗残の跡を物語る畑も、勝ちほこった自然の領土である森林も等しなみに雪の下に埋れて....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
かん十円。 高村悟君と、読売の元の講演部長小西民治氏とに行き会った。御両所とも敗残兵の如しだが、自分もまた御両所以上にひどい姿である。日本の現状をまざまざと二....
長篠合戦」より 著者:菊池寛
、弾正台の家康を目指すけれど大勢は既に決した。望月甚八郎、山県討死の処に乗入れて敗残の兵を引上げしめようとしたが、弾丸一度に九つも中り、脚と内冑を撃たれて果てた....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
帝国主義に尻押しをされて、絶えまなく小競合を繰りかえす軍閥の苛斂誅求と、土匪や、敗残兵の掠奪に、いくら耕しても、いくら家畜をみずかっても、自分の所得となるものは....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ても君、今年の春は早逝かんとするではないか。隣家の黒板塀からのさばり出た桃の枝は敗残の姿痛ましげに、今日も夕闇の空に輪郭をぼかしている。私は行く春の面影を傷手を....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
とに、彼はどうにも仕方のない興奮状態に陥ってしまい、その後もその度に、彼は哀れな敗残者となることを繰りかえした。 十七日から、彼は丸の内へ出勤することになった....
遺恨」より 著者:坂口安吾
二人の子供と女房アキ子の五人暮しであった。 アキ子は亭主を徹底的にカイ性なしの敗残者と思っていた。原稿を書けば売れるのだからセッセと書いて稼ぎなさい、とすすめ....
中庸」より 著者:坂口安吾
がナイフで斬りつけたのよ。私だってナイロンの靴下がはきたいけど、ほら、この靴下。敗残兵の靴下よりも貧弱だわね」 「さほどにも見えない。この村では華美の方だね。ス....
精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
精神病的ではないが、犯罪的なものなのである。 精神病者は自らの動物と闘い破れた敗残者であるかも知れないが、一般人は、自らの動物と闘い争うことを忘れ、恬として内....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
跡目披露や手打式をやるようでは、よッぽど格の下の親分であったに相違ない。落伍者や敗残者だけが下宿するにふさわしい家で、便衣隊の隠れ家には適しているが、まア、便衣....
裏切り」より 著者:坂口安吾
代の沈思黙考のあげく実に突如として愛の告白に及んだことです。洞穴に追いつめられた敗残兵が突如として総攻撃に転じたような悲痛の様が思いやられますが、行われた現象と....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
は、誰しも狂人として耳をかそうとはしなかった。そして、疲れ切った身に孔雀を伴い、敗残の姿を故国に現わしたのが、つい三年前の昭和×年――。 そう云えば、滞外中九....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
来た。そこで彼が告白するに、自分は惨めな罪びとであり、神の審判の座に対して卑しい敗残者である、と。そして、自分の許されえぬ罪悪について泣きかつ叫び、進んで自分の....
エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
た手段は常に拙劣であった。これが為に彼らは一層当路者と一般世間の嫌悪を招き、結局敗残の極みに陥ってしまったのである。今やエタ非人の称廃せられてよりここに半百年に....