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散す
「散す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
散すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春」より 著者:芥川竜之介
《ゆううつ》な篤介の姿を思い浮べた。すると急に篤介の匂《におい》――篤介の体の発
散する匂は干《ほ》し草《くさ》に似ているような気がし出した。彼女の経験に誤りがな....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
の高下を競わりょうぞ。さればその方は先ず己を恥じて、※々《そうそう》この宝前を退
散す可き分際ながら、推して神通《じんずう》を較べようなどは、近頃以て奇怪至極《き....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
中《うち》にも絶えず鼻を鳴らせている。どうも俺の脚の臭《にお》いは長靴の外にも発
散するらしい。……
「九月×日 馬の脚を自由に制御《せいぎょ》することは確かに馬....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
めに微粒子を放出するために相互の物質を交換する以外に、また衝突の際に広く空間に飛
散するガス塊の一部を互いに交換する。また星雲の外縁にあるガス分子が遠方の太陽から....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
方法が発見できれば、無限の電気を得ることになる。なお成層圏の上の方には地上から発
散する水素が充満している。その水素に酸素を加えると、これがすばらしい動力資源にな....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
いが僕の去年の境遇では、僕がどこまでも精神上の清潔を保持するならば、僕の一家は離
散するのほかはなかったし罪悪と知って罪悪を犯した苦しさ悲しさは、いまさら繰り返す....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
えて、下から私を見上げるのでした。 不図気がついて見ると、その小人の躰中から発
散する、何ともいえぬ高尚な香気! 私はいつしかうっとりとして了いました。 『もし....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
す河中に、われわれは飛ぶが如く趙荘さして進んだ。 両岸の豆麦と河底の水草から発
散する薫は、水気の中に入りまじって面を撲って吹きつけた。月の色はもうろうとしてこ....
「墓」より 著者:秋田滋
の上にかぶっている土をどけ、板を一枚外しました。と、厭なにおい、腐敗したものが発
散する悪気がむうッとあがって来て、わたくしの顔を撫でました。ああ、彼女の床には菖....
「政治に関する随想」より 著者:伊丹万作
が進歩し、民衆の政治意識が健全に発育すれば、彼らの大部分は自信を喪失して次第に消
散するであろう。すなわち、現在のごとき粗悪な候補者どもを退治する唯一の道は、国民....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
茶をたててそれをいただく。 清々しいものが体の中を吹き渡る……つかれはすぐに霧
散する。 「どれ、この爽涼の気持ちで線を引こう」 私は筆へ丹念に墨をふくます。....
「妖怪学」より 著者:井上円了
通の見解にては物心その体全く異にして、その二者接合して人身生体を生じ、その二者離
散するに至れば死体となるという。その図、あたかも上のごとし。 甲図は物心相離れ....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
れ、さらに半年を経ざる今日、同じ理由をもって、総理指名の議決を受けた特別国会を解
散するというがごときは、天下の公器たる解散権を自己政党の内紛鎮圧に利用せんとする....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
に、仄かに輝きそめた夕月が見えたりする。人々は名残惜しい焚火と別れて散り散りに退
散する。細雨をくだした秋天がいつの間にか晴れ渡っていたのである。 夕山風が古葉....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
た。 傭兵の逃亡を防ぐためにも給養は良くしなければならないし、徴発のため兵を分
散する事は危険でもあり、殊に三十年戦争頃に比し兵が増加したため、到底貧困な地方の....