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「散らし髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

散らし髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
まで一面になまなましい血を噴き出して、両方の鬢は掻きむしられたように乱れていた。散らし髪で血だらけの顔――それを表の暗やみから不意に突き出された時に、女房のおど....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ことだ。これからは正直に返事をしてくれねえじゃあいけねえよ」 「はい」と、お霜は散らし髪の頭を下げた。 「いいかえ。嘘を云わねえ約束だよ」と、半七は念を押した。....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
来たんですが、それもみんな抛《ほう》り出してしまい、帽子もステッキもなくなって、散らし髪の血だらけという姿、実に眼も当てられません。 追って来る連中ももう倦《....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「おれも一生に一度はそんな掘り出し物をしてえものだ」 「いえ、お前さん。あの女が散らし髪になって、恐ろしい顔をして、死んでも放すまいというように、風呂敷包みをし....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
節と見えたかも知れねえが、暗い夜の事じゃああるし、お節の着物をそっくり着込んで、散らし髪を顔一面に打っかぶっていりゃあ、誰にもちょいと判りますめえ。殊にみんなが....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
亭主に激しく責められて、いよいよ赫と逆上したらしい。彼女は蒼ざめた顔にふりかかる散らし髪をかきあげながら、亭主の前へ手をついた。 「まことに申し訳ありません。き....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
倒されて貝殻や石に傷つけられた者もあった。手拭などは吹き飛ばされて、男も女もみな散らし髪になってしまった。船にぬいで置いた上衣などは大抵どこへか飛んで行った。男....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
「誰か趣向をしたんだね、……もっとも、昨夜の会は、最初から百物語に、白装束や打散らし髪で人を怯かすのは大人気無い、素にしよう。――それで、電燈だって消さないつ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
今から七日前、娘のお春が三つの節句の雛を片付けた晩のことであった。お道の枕もとに散らし髪の若い女が真っ蒼な顔を出した。女は水でも浴びたように、頭から着物までびし....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
」 「どうするものか。根くらべだ」 「そう言っても、もし相手の方で三百人の人間を散らし髪にして、赭い着物をきせて、朱い糸でこの樹を巻かせて、斧を入れた切り口へ灰....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
るので、戸締りを厳重にして寝ると、夜なかになって王の妻は不思議の夢をみた。息子が散らし髪で母の枕元にあらわれて、泣いて訴えるのである。 「わたしはもう食い殺され....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
そう思え。」 こゝへ来る途中でも、もう二三度は中間共になぐられたらしく、平作は散らし髪になって、左の眼のうえを少し腫らしていましたが、這奴なか/\気の強い奴、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いにかなわず、干魚場《ほしかば》の石の上に追い上げられて、長竿でしたたか叩かれて散らし髪になったが、泣きながら脇差を抜いて切り散らし、所詮《しょせん》かなわなく....
女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
の前にぴたりと坐り、水色の地に波の白線を大きくうねらした浴衣の襟元をきつく合せ、散らし髪で猪口を手にしてる、彼女の姿は、なんだか情の薄い冷たさに見えた。 その....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
中間こそ好い面の皮。 「ねえ、御前、故人の句に御座いますね。涼しさや帆に船頭の散らし髪。これはしかし、千石船か何かで、野郎の船頭を詠んだので御座いましょうが、....