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散れ
「散れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
散れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
だ咲いていますでしょう? いやな花だなあ。もう三月は咲いていますよ。散りたくても
散れぬなんて、気のきかない樹だよ。」 僕は聞えぬふりして卓のしたの団扇《うちわ....
「たき火」より 著者:国木田独歩
けめぐりはじめぬ。入江の端《はし》より端へと、おのがじし、見るが間に分《わか》れ
散れり。潮《うしお》遠く引きさりしあとに残るは朽《く》ちたる板、縁《ふち》欠けた....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いのかい」 「いうにゃ及ぶでごぜえます! ちきしょう、雨が小降りになりやがった。
散れ散れ花
散れ駕籠《かご》飛ばせとくりゃがらあ。山下で用意をしておりますからね。....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
たりと留《とどま》っている。仰ぐとぐるぐる旋転《せんてん》しそうに見える。ぱっと
散れば白雨《ゆうだち》が一度にくる。小野さんは首を縮めて馳《か》け出したくなる。....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
身の日光を浴びて、同じ兜《かぶと》の鉢金《はちがね》よりは尺に余る白き毛を、飛び
散れとのみ※々《さんさん》と靡かしている。栗毛《くりげ》の駒《こま》の逞《たくま....
「草枕」より 著者:夏目漱石
ているが、あれは間違だ。舌頭《ぜっとう》へぽたりと載《の》せて、清いものが四方へ
散れば咽喉《のど》へ下《くだ》るべき液はほとんどない。ただ馥郁《ふくいく》たる匂....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
っとる!」急激に中尉の顔は、けわしくなった。「ヒョウキンな奴でもなんでもいかん!
散れ!
散れ! 散って寝ろ! 用心しろ!」 「はい。用心します。」 兵士たちは....
「般若心経講義」より 著者:高神覚昇
ようで、実はいつともなしに諦めているのが、私ども人間お互いの気持だと存じます。「
散ればこそいとど桜はめでたけれ」と聞いて、なるほどもっともだと感じます。生まれた....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
るはこの時で、「玉屋ァい――鍵屋ァい――」と老若ともに囃し立てた暫時は、空に咲き
散れる火花の響きも耳にはとどかず、都の人々大方はその心を両国の空に馳せ、人いきれ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
お前、終《しめ》えの方へもってきてよ、それ、お前がおはこの歌を書いてあらあ、花は
散れども春は咲くよ、鳥は古巣へ帰れども、行きて帰らぬ死出の旅、今あの歌が聞えます....
「地底戦車の怪人」より 著者:海野十三
機なら、この前になにかいってくるはずだ。これは、あやしい。おい、みんな、その場に
散れ!」 と、リント少将は、号令をかけた。 とつぜん現れたこの怪飛行隊は、ど....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
ようだから、振返えると、あらず、仁右衛門の居室は閉ったままで、ただほのかに見える
散れ松葉のその模様が、懐しい百人一首の表紙に見えた。 (明治四十年一月)....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
いその光りが弱く曇っていても、やはり月には相違ないのであるから、夜半を過ぎて雲が
散れぱ、明かるくなるであろうと思われた。 かの家にゆき着いて戸をたたくと、わた....
「古木」より 著者:豊島与志雄
の幹はびくともしませんが、それでも、花弁がひらひらと散っていました。それをもっと
散れもっと
散れというように、久江は幹を叩いていました。 巳之助がそばに行っても....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
で払いたのかも知れません。……ああ、あの、緋葉がちらちらと散りますこと。ひとりで
散れば散るんですけれど。……この風の止んだ静かな山の暮方に、でもどこかそこらの丘....