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散文的
「散文的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
散文的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「花燭」より 著者:太宰治
かぶってしまった。久しぶりで、涙を流した。 すこしずつ変っていた。謂わば赤黒い
散文的な俗物に、少しずつ移行していたのである。それは、人間の意志に依る変化ではな....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
て、学課や教室を無視することができた。しかるに、ここの文科の教室の空気は、極度に
散文的だ。一人として芸術の話をするやつがいない。高等学校出身の人たちは、たいてい....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
る新世界の外れだった。 「俗悪やわ。引き返しましょう」 そして彼女自身もひどく
散文的な気持になってしまって、紀代子は豹一の友達が彼女に下手な文章の恋文を送った....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
。私は小児のように常に驚異の眼を見張っていることは出来なくなった。その現実的な、
散文的な私にも、愛の働きのみは近づきがたき神秘な現われとして感ぜられる。 愛は....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
光輝が現われた。
「それが、まさに悪夢なんだ。怖ろしい神秘じゃないか。どうして、
散文的に解る問題なもんか」と一旦は狂熱的な口調だったのが、しだいに落着いてきて、....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
結句に、「印南国原」とだけ云って、その結句に助詞も助動詞も無いものだが、それだけ
散文的な通俗を脱却して、蒼古とも謂うべき形態と響きとを持っているものである。長歌....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
実に多様な場合があり、陥りやすき人間の弱点があり、社会的不備から生ずる同情すべき
散文的側面があり、必ずしも一概にはいえないさまざまの事情があるものである。 こ....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
用いている。かく清新な写生、取扱いを重要視した結果、次第に季感のうすい内容、形の
散文的傾向さえうまれて来た。 番傘さして来し郵便夫梅雨の宿 かな女 何時とな....
「光は影を」より 著者:岸田国士
一つをおろしたての博多帯一本で買わされるなんて、どうかしてたわ」 話がますます
散文的になるのは、もう、二人の間に、月並な世帯という観念が侵入してしまつたからで....
「決闘」より 著者:神西清
りって、それさえやめて下さるなら、僕もう三百御用立てしてもいいんですがね。じつに
散文的だ。」 ナヂェージダは笑い出した。もし自分が浮気のできる女だったら、そし....
「バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
たら、会って話してみたかったと思ったが、どうせ会った所で詩人でなく美術家でない、
散文的な私のことだ、先方に迷惑をかけるだけと思って、訪問にも出かけなかった。 ....
「大阪の可能性」より 著者:織田作之助
でただ少数の細かいニュアンスを味っているだけにすぎず、詩的であるかも知れないが、
散文的な豊富さはなく、大きなロマンや、近代的な虚構の新しさに発展して行く可能性も....
「序に代えて人生観上の自然主義を論ず」より 著者:島村抱月
矛盾は残る。つまり私は一方にはある意味での宗教を観ているとともに、一方はきわめて
散文的な、方便的な人生を観ている。この両端にさまよって、不定不安の生を営みながら....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
例えば谷崎潤一郎氏の口語による文章は、非常に息の長いものであるが、また純粋に
散文的な一種の音律に富むことは周知のとおりである。しかしもし現代の口語文をできる....
「広告」より 著者:伊丹万作
芭蕉以後、芭蕉に肉迫せんとする気魄を見た。 私には詩はわからない。なぜなら私は
散文的な人間であるから。 しかし私のいだいている概念からいえば、詩というものは....