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「散点〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

散点の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
八十八夜」より 著者:太宰治
自動車は、やはり、湖の岸をするする走って、やがて上諏訪のまちの灯が、ぱらぱらと散点して見えて来た。雨も晴れた様子である。 滝の屋は、上諏訪に於いて、最も古く....
皮膚と心」より 著者:太宰治
その吹出物のまわりにも、ぱらぱら小さい赤い吹出物が霧を噴きかけられたように一面に散点していて、けれども、そのときは、痒《かゆ》くもなんともありませんでした。憎い....
武蔵野」より 著者:国木田独歩
こら桜の木蔭にでも坐っていないだろうかと見廻わしたくなる。自分はこの流れの両側に散点する農家の者を幸福《しやわせ》の人々と思った。むろん、この堤の上を麦藁帽子《....
文芸の哲学的基礎」より 著者:夏目漱石
しまって広い空間を勝手次第に抛《ほう》り出すと、無辺際のうちにぽつりぽつりと物が散点しているような心持ちになります。もっともこの空間論も大分難物のようで、ニュー....
行人」より 著者:夏目漱石
後《うしろ》にはカーキー色の軍服を着けた士官が二人いた。そのほか六七人そこここに散点していた。 自分から一席置いて隣の二人連《ふたりづれ》は、舞台の正面にかか....
蓄音機」より 著者:寺田寅彦
事には今の蓄音機に避くべからざる雑音の混入が、あたかも三色版の面にきたないしみの散点したと同様であるようにも思われる。しかし人間の耳には不思議な特長があって、目....
カメラをさげて」より 著者:寺田寅彦
うな妖姫がサーヴするかと思わせるのもおもしろい。 こういうものの並んでいる間に散点してまた実に昔のままの日本を代表する塩煎餅屋や袋物屋や芸者屋の立派に生存して....
三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
る。 二 とんぼ 八月初旬のある日の夕方|信州星野温泉のうしろの丘に散点する別荘地を散歩していた。とんぼが一匹飛んで来て自分の帽子の上に止まったのを....
小浅間」より 著者:寺田寅彦
引いてその上に細かく刺繍をおいたように、オンタデや虎杖やみね柳やいろいろの矮草が散点している。 一合目の鳥居の近くに一等水準点がある。深さ一メートルの四角なコ....
俳句の精神」より 著者:寺田寅彦
ている。そうしてその錯雑した中に七五あるいは五七の胚芽のようなものが至るところに散点していることが認められる。それがいつとはなしに自然淘汰のふるいにでもかけられ....
高浜虚子著『鶏頭』序」より 著者:夏目漱石
ページ》の数から云っても余裕は出来易《できやす》い。だから長篇ものに所々此趣味が散点して居ても、取り立ててこれが作者の趣味だと言い切る訳には行かない。所が短篇も....
五月の唯物観」より 著者:寺田寅彦
その隣の赤椿の朝々の落花の数が多くなり、蘇枋の花房の枝の先に若葉がちょぼちょぼと散点して見え出す。すると霧島つつじが二、三日の間に爆発的に咲き揃う。少しおくれて....
ホオムズの探偵法」より 著者:平林初之輔
た時にでも、彼はその美には打たれないで、まず理知をはたらかせるのである。ぼつぼつ散点している家を見ると、絵のかけない人間にでもちょっと絵心がおこるものであるが、....
皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
索の小屋についた。それに沿うて西に下ると峠の路に出る。十町ばかり下に電燈の火光が散点している。六林班の鉄索運転所であろう。六時二十分そこにたどり着き、事務所に行....
それから」より 著者:夏目漱石
かたみ》であった。 今日の東京市、ことに場末の東京市には、至る所にこの種の家が散点している、のみならず、梅雨《つゆ》に入った蚤《のみ》の如く、日毎《ひごと》に....