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「散薬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

散薬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
噛《か》んだり、宝丹《ほうたん》を呑んだり、通じ薬をやったり、内地から持って来た散薬を用いたりする。毎日飯を食って呑気《のんき》に出歩いているようなものの、内心....
」より 著者:夏目漱石
ている座敷へ這入《はい》った。見ると、御米は依然として寝ていた。枕元の朱塗の盆に散薬《さんやく》の袋と洋杯が載《の》っていて、その洋杯《コップ》の水が半分残って....
愚人の毒」より 著者:小酒井不木
その翌日はなんともありませんでした。あなたは二十九日の発病を防ぐために、一包みの散薬を与えて、午前十時ごろ飲むようにと、その朝わざわざ書生を奥田家に遣わしになり....
斜陽」より 著者:太宰治
先生に伝えていただいても、普通のお風邪で心配はありません、という御返事で、水薬と散薬をくださる。 直治は相変らずの東京出張で、もう十日あまり帰らない。私ひとり....
死までを語る」より 著者:直木三十五
。 所が、ある夜薬局にいると一枚の処方箋を、徳子さんがもってきたが、その中に、散薬を包む四角い紙が入っていた。そして、その中に 「私は貴下《あなた》が好きです....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
ませんでしたか」 と云いながら、ポケットから薬の袋を一つ取り出した。 「ここに散薬が三包はいつていますが……今苦しくありませんか? あ、そうですか。じやこれを....
子猫」より 著者:寺田寅彦
がなんとなく美しい事のように思われた。 退院後もしばらく薬をもらっていた。その散薬の包み袋が人間のと全く同じであるが、名前の所には吉村氏愛猫としてその下に活字....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
取らないという人物でございますれば、大概のお医者なれば、一寸紙入の中にもお丸薬か散薬でも這入っていますが、此の志丈の紙入の中には手品の種や百眼などが入れてある位....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
村君。残っているのは、今ここにあるこれだけか」 長官は、卓子のうえに広げられた散薬の紙包ほどのものを指さす。その紙のうえには、なんだかくろずんだ粉が、ほんの少....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
、頭寒足熱ですかな、足をあたためて頭をひやして安眠させるといいです、ああん、薬は散薬と水薬……ああん、すぐでよろしい」 かれはこういって先生から借りて来た鞄を....
呉秀三先生」より 著者:斎藤茂吉
る。その古本屋は今は西洋|鞄鋪(旅行用鞄製造販売)になり、その隣は薬湯(人参実母散薬湯稲川楼)になっている。『精神啓微』は呉先生がいまだ大学生であったころに書か....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
言葉が間違っているにしても、君はその中身でそのひきだしを知ることができましょう。散薬と、一つの薬びんと一冊の手帳とが入っているのです。そのひきだしをそっくりその....
反抗」より 著者:豊島与志雄
」 彼女は隆吉に薬をやった。隆吉は仰向けに寝返って、水で拭いて貰った指先に白い散薬をつけて、それを何の味もなさそうに嘗めた。それから湯を一口飲んで、また力なく....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
立てていた。それは方々を渡り歩く香具師《やし》の歯医者で、総入れ歯や歯みがき粉や散薬や強壮剤などを売りつけていた。 ファンティーヌはその群集の中に交じって、卑....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
大小幾本もありました。小さい四角に切った紙を順に列べ、卦算を圧えにして、調合した散薬を匙で程よく分配するのです。終れば片端から外して折畳むのですが、よく馴れてい....