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散逸
「散逸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
散逸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「小さいアルバム」より 著者:太宰治
出しなんかへ容《い》れっ放《ぱな》しにして置くので、大掃除や転居の度毎に少しずつ
散逸《さんいつ》して、残っているのは、ごくわずかになってしまいました。先日、家内....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
。それに、仮令純粋のものでも、昨夜のような、猛烈な濃霧に遇っちゃたまりませんよ。
散逸する以前に、何より水蒸気が、吸収してしまいますからね。さてこれから、鹿子の目....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
紀元一二三六年にコルドヴァはスペイン人に侵略され、この有名な図書館の蔵書は次第に
散逸した。そうして、それまで幾多のキリスト教徒らがそこから科学的の教養を汲んでい....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
ず地上に崩れ落ちるのです。しかし比重が軽く積雪に対して擬色のある金属粉は、次第に
散逸して行って、捜査官の視力の限度を越えてしまうと同時に、それで機構のいっさいが....
「蒲団」より 著者:田山花袋
かと烈しく反省した。かれも泣きたいほど侘しくなった。光線の暗い一室、行李や書籍の
散逸せる中に、恋せる女の帰国の涙、これを慰むる言葉も無かった。 午後三時、車が....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
うべきものが発達しないで狭小だったりすると共に、他方に於ては逆に、関心が無原則に
散逸して観念狂奔症の類にさえ近づくことも生じて来るのである。何に、どこに、関心を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
一学でなかったら、この書物は、どうなっているか知れない。紛失はしていないまでも、
散逸《さんいつ》はしていたろう。そうでなければ虫と鼠との餌食に供せられていたに相....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ている。調子が少し変ってきました。 山の娘たちは密集を得意とする。里に出る時は
散逸しても、険山難路を過ぐる時は必ず集合する。事急なる時は必ず密集する。密集すれ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
り。また時に遥かに連山の巍峨たるに接することあれど、すべて雲の峰なれば須臾にして
散逸するをつねとす。 気候。驟雨多し。青天に葉書を出しに行くにも洋傘を忘るべか....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
。それを口中で誦しているうちに、身体は羽毛の如く軽やかになり、やがて意識は宙空に
散逸する。――だが、この時、合掌した両手が重く感ぜられてきた。重苦しく下へ下へと....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
つつあるのである。かく屋号は大切なものであるから、なるべく旧屋号を踏襲して得意を
散逸せしめず、充分商業の呼吸を呑み込んだ上で、徐々改正を施すのが最上の策である。....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
れたか出所来歴を知らぬがそれより以前に滝沢家から出たものらしい。マダそのほかにも
散逸したものがドコかに残ってると思うが、所在を明らかにしない。帝大のは偶然館外に....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
を送ると直ぐ遣したのが次の手紙で、それぎり往復は絶えてしまった。緑雨の手紙は大抵
散逸したが、不思議にこの一本だけが残ってるから爰に掲げて緑雨を偲ぶたねとしよう。....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
の方法は一時巴里好事家の間に流行し、ヂヨオ、バルブットオ諸家の蒐集品もまた同じく
散逸したりき。ここに一言《いちげん》すべきはゴンクウルが遺品競売の全金額はその遺....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
ってみれば、やはりもとは奈良坂村にあったものが、佐藤氏所蔵三月付の文書よりも先に
散逸したものと思われる。 右の両文書、ともに誤写、読みにくいところもあるが、今....