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敬虔
「敬虔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
敬虔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「放送された遺言」より 著者:海野十三
から考えるとそれは恐ろしい罠であるようにも思われます。いったい人類は人類としての
敬虔さをつねに持っていることが必要であります。 『神を怖れる』ということを忘れ、....
「家霊」より 著者:岡本かの子
娘の声であった。 宿命に忍従しようとする不安で逞しい勇気と、救いを信ずる寂しく
敬虔な気持とが、その後のくめ子の胸の中を朝夕に縺《もつ》れ合う。それがあまりに息....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
以来、彼には昔の「智慧の果」の外にも近代の「静物」に変り出した。 ファウストは
敬虔の念のためか、一度も林檎を食ったことはなかった。が或嵐の烈しい夜、ふと腹の減....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
外は余りに短いようであるが、次の大変化は、われらの常識に超越するものであることを
敬虔な気持で考えるとき、私は「三十年内外」を否定することはよろしくないと信ずるも....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
真似をしながら声をかけると、運転手は黙って肯くのであった。だが僕は、その運転手が
敬虔な眼眸をもって「深夜の市長」に対するのを見遁がしはしなかった。――僕等はトラ....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
、敬蔵もうっかり自分の言葉癖は出しにくかった。父娘は夜な夜な「最後の晩餐」という
敬虔な気持で言葉少なに美味に向った。 いったいが言葉少なの父娘だった。わけて感....
「食魔」より 著者:岡本かの子
て数歩退いて控えた。いかに満足に客がこの天の美漿を啜い取るか、成功を祈るかのよう
敬虔に控えている。もちろん料理は精製されてある。サービスは満点である。以下デザー....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
て僕は、僕の牢獄生活に対して、神の与えた試練、み恵み、というような一種の宗教的な
敬虔な感念を抱いた。 牢獄生活は広い世間的生活の縮図だ。しかもその要所要所を強....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
のであった。 いったん退場した治明博士が、再び舞台へ現われた。しずかな足取り、
敬虔《けいけん》な面持で歩をはこんでいる。と、そのあとから聖者レザール氏の長身が....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
相でラザルスの顔のベールをはずした途端に、あっと声を立てて、今まで彼に感じていた
敬虔な魅力から醒めると、事実がすべての赤裸な醜さのうちに暴露された。その客はまだ....
「読書子に寄す」より 著者:岩波茂雄
にのこすと誇称する全集がその編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に
敬虔の態度を欠かざりしか。さらに分売を許さず読者を繋縛して数十冊を強うるがごとき....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
て、かくのごとく考えかくのごとく企つべきものでないと信じている。僕はただかの自ら
敬虔の情を禁じあたわざるがごとき、微妙なる音調を尚しとするものである。 そこで....
「岩波文庫論」より 著者:岩波茂雄
後代に貽すと誇称する全集が其編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に
敬虔の態度を欠かざりしか。更に分売を許さず読者を繋縛して数十冊を強ふるがごとき、....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
物を重く見る気にはなれなかった。 私が初めて甚深の感動を与えられ、小説に対して
敬虔な信念を持つようになったのはドストエフスキーの『罪と罰』であった。この『罪と....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
の声がきこえてきた。そんな次第で、私達の車窓も車の停っているあいだ中は、そうした
敬虔の念の素朴にあらわれでた顔々に自然と覗き込まれることになり、葷酒を帯びた私達....