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「数刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

数刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二十世紀旗手」より 著者:太宰治
た。華麗豪壮の、せめて、おわかれの場を創りあげたかった。 その日、快晴、談笑の数刻の後、私はお金をとり出し、昨夜の二十枚よりは、新しい、別な二十枚であることを....
竹青」より 著者:太宰治
糸は鈍く光って、寝台には赤い小さな机が置かれ、その上に美酒|佳肴がならべられて、数刻前から客を待ち顔である。 「まだ、夜が明けぬのか。」魚容は間の抜けた質問を発....
李陵」より 著者:中島敦
を掬《すく》い上げると、全隊がたちまちこれを中に囲んですばやく退いて行った。乱闘数刻ののちようやく執拗《しつよう》な敵を撃退しえたが、確かに今までにない難戦であ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
ョビ安のあとを追い、すぐその足で日光へ向かうことになったが……。 と、それから数刻ののち、左膳のあとをたずねて、このトンガリ長屋へ来た柳生源三郎、その御浪人な....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
宿の者に命じてその笠を取り寄せましたので――。」 女鹿男鹿 それから数刻の後。 膳部を下げた藤屋の二階には、江戸ものには珍しい丸行燈《まるあんどん....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
て行く中に毅然として能楽の師家たる職分を守り、生涯を貫いて倦まず。悔いず。死期の数刻前までも本分の指導啓発を念としつつ息を引取った……というだけの生涯であった。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
わぬところで種がばれ、底が割れないという限りはありません。 お雪ちゃんも、もう数刻の談話で、その辺の呼吸が少し呑込めたと見え、さして人見知りをしないようになり....
丹下左膳」より 著者:林不忘
《きょうい》であった。 そこで剣豪左膳、いま一度左腕に縒《よ》りをかけて、力闘数刻、ようやく明け方におよんだが! 時、左膳に利あらず、火事装束の五人組に稀刀....
弱者の糧」より 著者:太宰治
ので、どんなに助かるかわからない。誰も自分に注意しない。映画館の一隅に坐っている数刻だけは、全く世間と離れている。あんな、いいところは無い。 私は、たいていの....
魔像」より 著者:林不忘
って慶之助に追い迫った。――じつに二番首は、この浅香慶之助であった。 それから数刻《すうこく》の後《のち》。 深夜である。神田帯屋小路の喧嘩渡世、茨右近方へ....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
明らかに狼狽した返答に接すると、こいつは……と考えざるを得なかった。 雑談数刻、風呂がわいたという知らせに、男爵は、M教師の妻君から手拭を借りて風呂場へ立....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
重苦しく語る応対ぶりは一見信頼するに足る人物と思わせずには置かなかった。かつ対談数刻に渉ってもかつて倦色を示した事がなく、如何なる人に対しても少しも城府を設けな....
法然行伝」より 著者:中里介山
れた智恵が、自宗で習い伝えた義理に立ち越えている」といって随喜感歎甚だしく、法談数刻の後、法然は特に乞うて華厳宗の血脉《けちみゃく》並に華厳宗の書籍などを渡され....
夢幻泡影」より 著者:外村繁
消えてしまう。というよりは、ふと、再びその音に気づいたとき、今までのその音の無い数刻を何か空しく思い返すのである。不思議なことには、そういうとき聞く、時計の音と....
田螺」より 著者:北大路魯山人
を、いろいろとなだめすかして私に食べさせようとしなかった。しかし、医者は、どうせ数刻の後にはない命である、死に臨んだ子どもがせっかく望むところだから食べさせては....