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数多
「数多〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
数多の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
停車場前はすぐそこだった。もう十二時近い秋の日ははなやかに照り満ちて、思ったより
数多い群衆が運河にかけ渡したいくつかの橋をにぎやかに往来していた。葉子は自分|一....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
林である。桃畑梨畑の間をゆくと僅の田がある。その先の松林の片隅に雑木の森があって
数多《あまた》の墓が見える。戸村家の墓地は冬青《もちのき》四五本を中心として六坪....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
千二百十二年の三月十八日、救世主のエルサレム入城を記念する棕櫚の安息日の朝の事。
数多い見知り越しの男たちの中で如何いう訳か三人だけがつぎつぎにクララの夢に現れた....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
てきた。しかしてまた『その以前には創造されていなかった』神々も成り出で、しかして
数多い子孫を生じた。ティアマートはこの神々の群衆が次第に自分の領域を我がもの顔に....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
常な距離があるにしても、いきなりその距離の大きさを俳優に知らせることはよくない。
数多いテストによって少しずつ俳優を引きあげて行って次第にその距離を縮めて行くよう....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
ろに手を入れて、偖て会社から検査員の来るのを待つ計りになった。私はかの二重底から
数多の仲間と甲板に這い出して、油照りに横から照りつける午後の日を船橋の影によけな....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
車の中に、あたかも雷鳴を凌ぐ、深刻なる独白のごとく私たちの耳に響いた。 附添の
数多の男女は、あるいは怒り、あるい罵り、あるいは呆れ、あるいは呪詛った。が、狼狽....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
刻んだ、一基の石碑が見えました。 雪の難――荷担夫、郵便配達の人たち、その昔は
数多の旅客も――これからさしかかって越えようとする峠路で、しばしば命を殞したので....
「墓」より 著者:秋田滋
しかも人間は、幾千となく、幾百万となく、幾十億となく、いやそれよりももっともっと
数多く生れて来るでありましょうが、新たに生れて来る女のなかには、そのひとはもう決....
「戦争責任者の問題」より 著者:伊丹万作
一切省略して、その人の地位や職能によつて判断する方法である。現在までに発表された
数多くの公職追放者のほとんど全部はこの方法によつて決定された。もちろん、そのよい....
「取舵」より 著者:泉鏡花
、はい、小用場へはどちらへ参りますでございますか、どうぞ、はい。……」 盲人は
数多渠の足下に叩頭きたり。 学生は渠が余りに礼の厚きを訝りて、 「うむ、便所か....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
に終った磁気と重力との関係、並びに磁気と光との関係に終る。この間に発表した論文は
数多く、題目を列べただけで、数頁にわたる。けれども電気磁気に関する重要なる論文は....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
小曲をして平清の植込の下なる暗い処へ入って蔭になった。川面はますます明い、船こそ
数多あるけれども動いているのはこの川にこれただ一|艘。 「こっちの橋は。」 間....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
てあらざれど、傾きたるまま苔蒸すままに、共有地の墓いまなお残りて、松の蔭の処々に
数多く、春夏冬は人もこそ訪わね、盂蘭盆にはさすがに詣で来る縁者もあるを、いやが上....
「妖怪学」より 著者:井上円了
ずるがゆえ、齢落つれば死なるによるならんと思わる。その他、かかる類の例はなおなお
数多かり。今、いちいち挙ぐるにたえざれば、これを略す。けだし、世間の風俗、儀式の....