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「敷く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

敷くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
控えたのに、先方は発奮んだと見えて、コロコロコロ。 これを聞いて、屈んで、板へ敷く半纏の裙を掻取り、膝に挟んだ下交の褄を内端に、障子腰から肩を乗出すようにして....
天守物語」より 著者:泉鏡花
天守の五重。左右に柱、向って三方を廻廊下のごとく余して、一面に高く高麗べりの畳を敷く。紅の鼓の緒、処々に蝶結びして一条、これを欄干のごとく取りまわして柱に渡す。....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
かんでしゅから、山根の潮の差引きに、隠れたり、出たりして、凸凹凸凹凸凹と、累って敷く礁を削り廻しに、漁師が、天然の生簀、生船がまえにして、魚を貯えて置くでしゅが....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
青空にほとばしって、白い兎が月に駈けるようである。下も水のごとく、尾花の波が白く敷く。刈残した粟の穂の黄色なのと段々になって、立蔽う青い霧に浮いていた。 と見....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
だった。茸狩に綺羅は要らないが、山深く分入るのではない。重箱を持参で茣蓙に毛氈を敷くのだから、いずれも身ぎれいに装った。中に、襟垢のついた見すぼらしい、母のない....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
からその裾に、大きく何やら踞まった、形のない、ものの影を、腰掛くるよう、取って引敷くがごとくにした。 路一筋白くして、掛行燈の更けたかなたこなた、杖を支いた按....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
名家の紋の橘の左右に散った。 思わず、ハッと吐息して、羽織の袖を、斉く清く土に敷く、お町の小腕、むずと取って、引立てて、 「馬鹿、狂人だ。此奴あ。おい、そんな....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ある大魚の、左右に浪を立てて白く、御堂を護るのを、詣るものの、浮足に行潜ると、玉敷く床の奥深く、千条の雪の簾のあなたに、丹塗の唐戸は、諸扉両方に細めに展け、錦の....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
のではない。霧の晴れたのではない、渠が飾れる宝玉の一叢の樹立の中へ、倒に同一光を敷くのであった。 ここに枝折戸。 戸は内へ、左右から、あらかじめ待設けた二|....
星女郎」より 著者:泉鏡花
馬場へ懸ると、早や日脚が摺って、一面に蔭った上、草も手入らずに生え揃うと、綺麗に敷くでござりましてな、成程、早咲の桔梗が、ちらほら。ははあ、そこらが埋井戸か……....
山吹」より 著者:泉鏡花
よろず屋の店と、生垣との間、逕をあまして、あとすべて未だ耕さざる水田一面、水草を敷く。紫雲英の花あちこち、菜の花こぼれ咲く。逕をめぐり垣に添いて、次第に奥深き処....
註文帳」より 著者:泉鏡花
あるべき現象とも覚えぬまでなり。何物かこれ、この大都会を襲って、紛々|皚々の陣を敷くとあやまたるる。 さればこそ、高く竜燈の露れたよう二上屋の棟に蒼き光の流る....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
や小さく見えた時と、重り合って、羽衣の袖が扇子とともに床に落ちて、天人のハタと折敷く、その背を、お悦が三つ四つ平手で打った……と私は見たが。…… 「急病だ。」 ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
したわ。……塚に苔は生えていません。」 と扇子の要で、軽く払うにつれて、弱腰に敷くこぼれ松葉は、日に紅く曼珠沙華の幻を描く時、打重ねた袖の、いずれ綿薄ければ、....
活人形」より 著者:泉鏡花
へお入り。と先に立ちて行く後より、高田も入りて見るに、壁の彼方にも一室あり。畳を敷くこと三畳ばかり。「いいちょんの間だ。と高田がいえば、得三|呵々と打笑いて、「....