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敷台
「敷台〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
敷台の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た。農場の事務所から想像していたのとは話にならないほどちがった宏大な邸宅だった。
敷台を上る時に、彼れはつまごを脱いでから、我れにもなく手拭《てぬぐい》を腰から抜....
「満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
て、普通なら玄関の前へ来て、郵便と大きな声を出すべきところを、無言のまますたすた
敷台から教場の中へ這入《はい》って来た。この郵便屋がすなわち佐藤であったので大い....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ものは吾輩だけになる。吾輩だって出るのはいやだ。すると客人は沓脱《くつぬぎ》から
敷台へ飛び上がって障子を開け放ってつかつか上り込んで来た。主人も主人だが客も客だ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
まいかなぞ勝手な想像を働かせていた。 わたくしたちが帰りかけると、雛妓は店先の
敷台まで女中に混って送って出て、そこで、朧夜になった月の夜影を踏んで遠ざかり行く....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
を上げたか、湯気は立ったかえ、善藏に板橋まで送らせて遣る積りだから、荷物は玄関の
敷台まで出して置きな、孝助殿御膳を上れ」 孝「お父様御機嫌よろしゅう、長い旅です....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
は予て待受けて居りました小林藤十郎、左右に手先を侍らせ、友之助を駕籠から引出して
敷台に打倒し、 小「京橋銀座三丁目紀伊國屋友之助、業平橋|立花屋源太郎、町役人....
「光は影を」より 著者:岸田国士
「では、お帰りになるまで、こゝで待たせていたゞきます」 ものゝ二時間も、玄関の
敷台に腰をおろしたまゝ、てこでも動こうとしないこの女を、母も、妹の多津も、うさん....
「魔像」より 著者:林不忘
。よく来た。ちょうど羽衣を唸《うな》ってナ、相手のほしかったところである。上れ」
敷台《しきだい》に立ちはだかって戸外《おもて》へ呶鳴《どな》った玄蕃、三ッ引の紋....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ど、うまいところに気がつくものですたい」 棺桶 「……そうすると、中玄関の
敷台へ葬具を下ろしたときに手代が出てきて、ご病人はいま急に持ちなおしたから、すま....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
と、数寄屋詰道句風《すきやづめどうくふう》をまねた前庭の飛び石づたいに、大玄関の
敷台が見えて、何年にも手入れをしないらしく雑草にうずもれて早咲きの霧島《きりしま....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
上には、下宿の大きな土佐犬が手脚を伸して寝そべっていた。彼は玄関へ入るなり、まず
敷台の隅の洋傘やステッキの沢山差してある瀬戸物の筒に眼をつける――Kの握り太の籐....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
二人の少女は大きな下駄箱の中からただ二つ残っている下駄を取り出して私たちのために
敷台の下に運んでくれた。我ら二人が表に出る時二人の少女は声を揃えて 「さいなら。....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
しき小坊主の、おおと答えて障子引き開けしが、応接に慣れたるものの眼捷く人を見て、
敷台までも下りず突っ立ちながら、用事なら庫裡の方へ廻れ、と情なく云い捨てて障子ぴ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
り、上締をしめ、小長いのを引抜き物をも言わずツカ/\と進んでまいり、今八橋周馬が
敷台口へ下りようとする前に立塞りました。 小「おのれ大野惣兵衞、吾は稻垣小三郎な....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
寞とした境内にはいって玄関の前に目をつぶって突立った。物音一つ聴えなかった。暗い
敷台の上には老師の帰りを待っているかのように革のスリッパが内へ向けて揃えられてあ....