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敷居
「敷居〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
敷居の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
すぐ立ち上がって猫《ねこ》のように足音を盗みながら急いでそっちに行った。ちょうど
敷居を上がろうとしていた倉地は暗い中に葉子の近づく気配を知って、いつものとおり、....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
垂《まえだれ》で膝を隠したばかりで、湯具《ゆのぐ》をそのままの足を、茶の間と店の
敷居で留《と》めて、立ち身のなりで口早《くちばや》なものの言いよう。 「何処《ど....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
所ながら真砂町の様子を、と思うと、元来お蔦あるために、何となく疵持足、思いなしで
敷居が高い。 で何となく遠のいて、ようよう二日前に、久しぶりで御機嫌|窺いに出....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
見やりながら、君の心は運命に対する疑いのために妙におくれがちになる。 それでも
敷居をまたぐと土間のすみの竈には火が暖かい光を放って水飴のようにやわらかく撓いな....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
なるし、あいにく通筋の板敷に席を取ったのだから堪らない。膝の上にのせれば、跨ぐ。
敷居に置けば、蹴る、脇へずらせば踏もうとする。 「ちょッ。」 一樹の囁く処によ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
それがこの広座敷の主人のようで、月影がぱらぱらと鱗のごとく樹の間を落ちた、広縁の
敷居際に相対した旅僧の姿などは、硝子障子に嵌込んだ、歌留多の絵かと疑わるる。 「....
「女客」より 著者:泉鏡花
その分も。」 「じゃ階下は寂しいや、お話しなさい。」 お民はそのまま、すらりと
敷居へ、後手を弱腰に、引っかけの端をぎゅうと撫で、軽く衣紋を合わせながら、後姿の....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の煮込のおでんの皿盛を白く吐く息とともに、ふうと吹き、四合壜を片手に提げて「ああ
敷居が高い、
敷居が高い、(鳥居さえ飛ぶ癖に)階子段で息が切れた。若旦那、お久しゅ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
りりと緊った処なんだ。令夫人は藤色の手柄の高尚な円髷で袴を持って支膝という処へ、
敷居越にこの面が、ヌッと出た、と思いたまえ。」 「その顔だね。」 「この面だ。―....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
ここへ、」 と指さされた窓の許へ、お君は、夢中のように、つかつか出て、硝子窓の
敷居に縋る。 謙造はひしと背後に附添い、 「松葉越に見えましょう。あの山は、そ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
合。 五 「はッ。」 古市に名代の旅店、三由屋の老番頭、次の室の
敷居際にぴたりと手をつき、 「はッ申上げまするでございまする。」 上段の十畳、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ぴッたり、風に吹きつけられたようになって面を背けた。斜ッかいの化粧部屋の入口を、
敷居にかけて廊下へ半身。真黒な影法師のちぎれちぎれな襤褸を被て、茶色の毛のすくす....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
を食っちゃった、見ねえ、おい。」 勇美子は引手繰られるように一膝出て、わずかに
敷居に乗らないばかり。 「よう、おしまいなさいよ。」といったが、端なくも見えて、....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
にして、角の喜の字へ行くとね、帰りがけにお前、」と口早に話しながら、お縫は上框の
敷居の処でちょっと屈み、件の履物を揃えて、 「何なんですよ、蘆の湯の前まで来ると....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、畳に附たる血の痕あり。一箇処のみか二三箇処。ここかしこにぼたぼたと溢れたるが、
敷居を越して縁側より裏庭の飛石に続き、石燈籠の辺には断えて垣根の外にまた続けり。....