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文庫本
「文庫本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
文庫本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
熱は小学時代から始まっていた。この情熱を彼に教えたものは父の本箱の底にあった帝国
文庫本の水滸伝《すいこでん》だった。頭ばかり大きい小学生は薄暗いランプの光のもと....
「乞食学生」より 著者:太宰治
ね?」と、からかうような口調で言い熊本君の傍にある机の、下を手さぐりして、一冊の
文庫本を拾い上げた。机の上には、大形の何やら横文字の洋書が、ひろげられていたので....
「斜陽」より 著者:太宰治
だったら、これは、お読みかも知れないけど」 と言って、上衣のポケットから小さい
文庫本を取り出し、てれたように、板の上にほうり、 「こんなものでも、読んでいて下....
「縮図」より 著者:徳田秋声
していた。 均一は鈴蘭病棟の一室にいたが、熱も大して無いと見えて、仰臥したまま
文庫本を見ていた。木造だけに部屋の感じもよく、今一人の同じ年頃の患者とベッドを並....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
ってることも知っている。髭剃りのあとにつけるクリームを持たないことも知っている。
文庫本を二冊持ってることも知っている。トランプを一組持ってることも知っている。ヒ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
のことで、大正十年が一千三百年の遠諱に当るということに気がついた。『日本書紀』は
文庫本でこの頃手に入れたが、その本文から年代の纏った知識を得ることは容易でない。....
「言語は生きている」より 著者:中井正一
」(用例三)「機の早い」(用例一) 「気分」(用例三)「機分」(用例四)(有朋堂
文庫本) これは写本でも幾らかの差があろうが、その用い方は幾分か気の方が心理....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
あったし、写本の一種も見たことはあったが、今は私の手もとには群書類従もない。岩波
文庫本が一冊あるだけだ。ほかの本のことは知らないが、岩波本は相慶之という坊さんが....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
る。 ところが『日暮硯』という本はなかなか愛読された本で、戦争中には大衆向きの
文庫本の中にまでこの本が印刷されていたものなのだ。 ノド元すぐればで我々はもう....
「春雪」より 著者:久生十蘭
見ていると、七時ちょっとすぎに柚子がバスから降りてきた。なるほど携げ袋から岩波の
文庫本かなにか出して、立ったまま読んでいる。 ひいき眼ではなく、頭は悪そうでは....
「旅への誘い」より 著者:織田作之助
なかったが、しかし、読み終って姉の机の抽出の中を探すと果して鴎外の「即興詩人」の
文庫本が出て来た。 「お姉さまはなぜこの御本を返さなかったのだろう?」 と呟い....
「岩波文庫論」より 著者:岩波茂雄
、経済的価値低くとも古典的価値の豊かなるものはつとめて編入し、この点において岩波
文庫本来の特色を発揮しようと思っている。往年外遊の際、レクラム会社を見学してその....
「梅雨晴」より 著者:永井荷風
きてんじん》の傍なるその※居《しゅうきょ》に問うた。枕元に有朋堂《ゆうほうどう》
文庫本の『先哲叢談』が投げ出されてあった。唖々子は英語の外に独逸語《ドイツご》に....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
国歌大観』『国歌大系』にも入っているが、中でも『拾遺愚草』は佐佐木博士校訂の岩波
文庫本がよい。近くは改造文庫にも加えられた。 こうした気持ちになって行ったので....
「穀神としての牛に関する民俗」より 著者:中山太郎
《まこと》に已《すで》に死《みまか》れり、唯し其の神の頂に牛馬化為れり云々(岩波
文庫本)。 と記せるがそれである。そして、この神話からおよそ三つの民俗学的問題....