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「文机〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

文机の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
し合っていられましたからね。お師匠様が小松谷の禅室にお暇乞いにいらした時法然様は文机の前にすわって念仏していられました。お師匠様は声をあげて御落涙なされましたよ....
老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
た涙だったに違いないのである。 銀台に輝かしく輝いているおろうそくが、そのまに文机の左右に並べられた。 静かに端座して再び書見に向おうとしたとき、――不意だ....
」より 著者:島崎藤村
自分の身体を憐むように見て、復た急に押隠した。満洲の実から彼女へ宛てて来た手紙が文机の上にあった。彼女はそれを弟に見せようとして、起って行った。 「ア、ア、ア、....
丹下左膳」より 著者:林不忘
にじんで……。 越前守様は、まだ起きていらっしゃるらしい。 黒塗り絵散らしの文机に向かわれて、燭台を引きよせ、何やら読書をしていらっしゃる。 書物をめくる....
錦木」より 著者:宮本百合子
の望も絶えた、私の死ぬ時が来た、もう彼の人を再び見る時はないだろう」 主のない文机にぬけがらの様になった体をよせると目の前には白いかみに美くしく手習がされてわ....
坂田の場合」より 著者:豊島与志雄
飾は全く調和統一がとれていなくて、手当り次第に一つずつ持込まれたかの観があった。文机は楢の分厚な一枚板の無装飾、まるで爼のような感じで、その上には、頑丈な紫檀の....
紫の壜」より 著者:豊島与志雄
。いや寧ろ、覚悟とも言える決定的なものが、自然に生れてきたのだ。――戸棚のわきの文机に、インクスタンド、硯箱、人形、切子硝子の花瓶、手箱の類など、ごたごた並んで....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
亡人はその塩湯の奥座敷を自分の部屋として占めていた。縁側寄りの中硝子の障子の前に文机がかたの如く据えてある。派手な卓布がかかっている。その一事のみがこの部屋の主....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
とき、ふと気づいて探ぐって見るとそれが袂の中にない。邸を出る前までたしかに居間の文机《ふづくえ》の上に置いたことはわかっているのだが、なにしろ朝の時間は万年青で....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ひとつになっている名代《なだい》の強情おやじ、しょんべん組の森川庄兵衛が、居間の文机のうえにうつむきこんで、なにかしらん、わき目もふらずこつこつやっているところ....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
いて、出の仕度のできた操《あやつ》り人形の小屋台が置いてあるのが見えた。それは、文机《ふづくえ》ほどの大きさで、上から糸で人形を垂らして、舞台になるものだった。....
自殺か他殺か」より 著者:小酒井不木
うことでした。 それから、俊夫君は机を検べました。それは二つの引き出しのついた文机でした。俊夫君はまずその左の引き出しを開けました。 するとそこに、色々な書....
私本太平記」より 著者:吉川英治
どもの手でまずは難なくすみましてございまする」 みかどは、中殿の大きな黒塗りの文机におん肱をのせ、その上へ俯伏しておいでだった。 「…………」 廉子のさまざ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ころよい語感になって、雌蕊の命をふるわすのだった。 「…………」 今宵、彼女は文机のわきに、小さい土炉をおいて、薬湯をたぎらせていた。――そしてこれは徒然がち....
魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
ものに感じさせていた。その傍には高蒔絵の御厨子、蝶貝入りの書棚、梨地定紋ちらしの文机等が極めて体裁よく置きつけてあった。どれを見ても欲しいものばかり、侯爵が特に....