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「文殻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

文殻の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道草」より 著者:夏目漱石
の方にゃしまって置く所がないよ」 彼の周囲は書物で一杯になっていた。手文庫には文殻《ふみがら》とノートがぎっしり詰っていた。空地《くうち》のあるのは夜具《やぐ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
がくれた花だといって、人に惜むにも当らない。この筆法をもってすれば、情婦から来た文殻が紛込んだというので、紙屑買を追懸けて、慌てて盗賊と怒鳴り兼ねまい。こちの人....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
となる代りに、大層快活になり、能弁家になりました。一間に閉じこもって破れて落ちる文殻を綴り合わせているどころの話ではなく、彼は毎日のように顎髯をしごき乍ら、赤耀....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
で死のうという心になるお蘭の志を考えると、山三郎は憫れさに堪えられず、暫くの間|文殻を繰返し/\読んで考えて居りました。 山「お蘭さん、誠にどうも御尤で、お前さ....
オパール色の手紙」より 著者:平林初之輔
あの人はこの前と同じように封をきって、やはり一分間足らずで読みおわって、机の上へ文殻《ふみがら》を投げ出し、それから巻|煙草《たばこ》に火をつけた。妾の眼のせい....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
札下サルベク候 月 日 新免宮本武蔵政名 「すぐ帰る」 清十郎は文殻をたもとへ突っ込むとそういって立ち上がった。――さまざまに縺れる気持が、もう....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
うは多分にしたためてある。 「駄目だ! これは」 有村は見切りをつけたように、文殻を啓之助へつきやって、 「所詮、天堂などの敵でないとみえる。頼み甲斐のない一....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、さけんだ。何の人前がと、俊基は見得もなくそれをむさぼり読んだ。いや、読み終った文殻をもなお顔に押し当てて、小右京の肌の香を嗅いでいた。そのうちに、みるみるそれ....