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文箱
「文箱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
文箱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
《かたはづめ》さえ知っているのですよ。この五葉の切りぬきを、貴方は、こっそり赤い
文箱に仕舞い込みました。どうです。いやいや、無理して破ってはいけません。私を知っ....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
之助が百金返金になって居ります筈で」 蟠「百両ではありません三百両です、これ証
文箱を出せ……これに書いてある此の証文を御覧《ごろう》じろ、此の通り書いたものが....
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
らが急いで帰り支度にかかっている時だった。中川淳庵の私宅から、小者が赤紙の付いた
文箱を持って、駆けつけてきた。 淳庵は、その至急を示した
文箱を、ちょっと不安な....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
ると、役者たち拍手をして慰《ねぎら》う。下手の障子をあけ、宗清の女中赤紙の付いた
文箱を持って出る) 女中 藤十郎様にお文がまいりました。 若太夫 (中途で受....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
《い》れて、帯の上から撫でて御覧なさりながら、御部屋の内をうろうろなさいました。
文箱《ふばこ》の中から出ましたのは、艶書《ふみ》の束です。奥様は可懐《なつかし》....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
意候以上 三月十日寺島兵庫 松蔭大藏殿 という文面で、
文箱に入って参りましたから、当人の悦びは一通りでございません、先ず請書をいたし、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
かけるものがある。」 と恭順は言いながら、黒く塗った艶消しの色も好ましい大きな
文箱を奥座敷の小襖から取り出して来た。その中にある半紙四つ折りの二冊の手帳を半蔵....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
んだろう、いま少し打ち解けてみせてもよさそうなものだ」と思う。郁治の手紙は小さい
文箱にしまっておいた。 前の土曜日には、久しぶりで行田に帰った。小畑が熊谷から....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
の法衣を絡い、鰭の形したる鼠の足袋。一本の蘆を杖つき、片手に緋総結びたる、美しき
文箱を捧げて、ふらふらと出で来る。 鯰入 遥々と参った。……もっての外の旱魃なれ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
時、ふとどこともなく立顕れた、世にも凄いまで美しい婦の手から、一通|玉章を秘めた
文箱を託って来て、ここなる池で、かつて暗示された、別な美人が受取りに出たような気....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
に稲妻のごとく閃いたれ、愛嬌の露もしっとりと、ものあわれに俯向いたその姿、片手に
文箱を捧げぬばかり、天晴、風采、池田の宿より朝顔が参って候。 謙造は、一目見て....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
取寄せ話をして居る中に灯火を点けます時分になると、大津の銚子屋から手紙で、小さな
文箱の中に石井山三郎様粥河圖書という手紙が届きました。 馬「旦那お手紙で」 山「....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
遠方の知人などは、どうにも俺にはなかったはずだが」 呟きながらも宮川茅野雄は、
文箱をあけて書面を出して、静かに文面へ眼を落とした。 「お懐かしき茅野雄様、妾は....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
の揺らぐ八重垣姫や、前髪の美しい久松や、しゅすの帯をしめたお里や、狂乱のお舟や、
文箱を持った力弥や、――美しい人の幻影が絶えずちらつくようになった。それは愛と誠....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
ていった警部補がハンケチに包んでもって帰りました。いまハンケチに包んだまま、公用
文箱にいれて鍵をかけてあります。」 「ナイフはエリスの物だったのですか?」 「エ....