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斑
「斑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
斑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
所で見ると、わきの下や首のつけ根に、ちょうど腐った杏《あんず》のような、どす黒い
斑《まだら》があって、そこからなんとも言いようのない、異様な臭気が、もれるらしい....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
を羞《は》じている為に違いなかった。甲野はこう云う彼を見ながら、(彼の顔も亦|雀
斑《そばかす》だらけだった。)一体彼はお鈴以外の誰に惚《ほ》れられるつもりだろう....
「母」より 著者:芥川竜之介
げた、支那風の鳥籠を眺めている。鳥は文鳥《ぶんちょう》か何からしい。これも明暗の
斑点《はんてん》の中に、止《とま》り木《ぎ》をあちこち伝わっては、時々さも不思議....
「冬」より 著者:芥川竜之介
れ自身僕に息苦しさを与えない訣《わけ》には行《ゆ》かなかった。現に僕の左隣りには
斑《まだ》らに頭の禿《は》げた老人が一人やはり半月形《はんげつがた》の窓越しに息....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
の代から、日本橋の若松町にいる絵具屋である。死んだのは四十五で、後には痩せた、雀
斑《そばかす》のあるお上《か》みさんと、兵隊に行っている息子とが残っている。暮し....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
な犬をくれてやろう。」と言ったと思うと、もう口笛の声が森中にひびき渡って、一匹の
斑犬《ぶちいぬ》が牙《きば》をむき出しながら、駈けて来ました。
「これは噛めとい....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ないのか夜空へ白く、まっすぐな煙《けぶり》をあげて居ります。殊にその煙の末が、所
斑《ところはだら》な天の川と一つでいるのを眺めますと、どうやら数え切れない星屑が....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
涎《よだれ》に濡れた、ちょうど子持ちの乳房《ちぶさ》のように、鳶色《とびいろ》の
斑《ぶち》がある鼻づらだった。
「へええ、して見ると鼻の赭《あか》い方が、犬では....
「路上」より 著者:芥川竜之介
うもんだ。」
野村もこれには狼狽《ろうばい》したものと見えて、しばらくは顔を所
斑《ところまだら》に赤くしたが、それでも声だけはゆっくりした調子で、
「僕はピエ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
をついて、ウイスキイらしい杯を嘗《な》めている、たった一人の客であった。
客は
斑白《はんぱく》の老紳士で、血色のいい両頬には、聊《いささ》か西洋人じみた疎《ま....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ら、あの娘に云い寄るべき手段をいろいろ考えていた。するとそこへもう一人の若者が、
斑竹《はんちく》の笛《ふえ》を帯へさして、ぶらりと山を下って来た。それは部落の若....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
は躍るように、枯柳の根もとに転《ころ》げ落ちた。血は見る見る黄ばんだ土に、大きい
斑点《はんてん》を拡げ出した。
「よし。見事だ。」
将軍は愉快そうに頷《うなず....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ございました。背材はそう高くはございませぬが、総体の地色は白で、それに所々に黒の
斑点の混った美しい毛並は今更自慢するではございませぬが、全く素晴らしいもので、私....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
た。僕は丁度戸の前に佇み、誰もいない部屋の中を眺めまわした。すると向うの窓硝子は
斑らに外気に曇った上に小さい風景を現していた。それは黄ばんだ松林の向うに海のある....
「初雪」より 著者:秋田滋
彼方には、明るい家々が深緑の山肌を、その頂から麓のあたりまで、はだれ雪のように、
斑に点綴しているのが望まれた。 海岸通りにたち並んでいる家では、その柵のところ....