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斜陽
「斜陽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
斜陽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
熊内中尉だった。追いかけられているのは竹花中尉、中尉の顔が、丁度雲間から現われた
斜陽を真正面に浴びて、儂のレンズの底にハッキリと映じたが、彼は飛行帽も眼鏡もかな....
「河明り」より 著者:岡本かの子
、夜も昼も潺湲の音を絶やさぬ京都四條河原の宿、水も砂も船も一いろの紅硝子のように
斜陽のいろに透き通る明るい夕暮に釣人が鯊魚を釣っている広島太田川の宿。 水天髣....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
らばくれた態度で姿かたちをわたくしの見検めるままに曝していたが、夏のたそがれ前の
斜陽が小学校の板壁に当って、その屈折した光線が、この世のものならずフォーカスされ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
11) 遼陽城外、すべて緑楊の村である。秋雨の晴れたゆうべに宿舎の門を出ると、
斜陽は城楼の壁に一抹の余紅をとどめ、水のごとき雲は喇嘛塔を掠めて流れてゆく。 ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
から駈け上がって来る二騎の騎馬武者の音であった。腹巻の上に引き纏った紅の掛け布が
斜陽に射られて血のように深紅に輝くのが荒涼たる曠野と相映じ一種の鬼気を呼び起こす....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
の大噴火口はいつしか五穀実る数千町歩の田園とかわって村落幾個の樹林や麦畑が今しも
斜陽静かに輝いている。僕らがその夜、疲れた足を踏みのばして罪のない夢を結ぶを楽し....
「火星探険」より 著者:海野十三
い朝の風景、真昼になってじりじりと岩が燃えるような男性的な風景、巨岩にくっきりと
斜陽の影がついて紫色に暮れて行く夕景などと、見るたびに美しさが違うのであった。四....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
少ないので、こんな店をはじめた始末。三年になる。それ等のことを蓬莱和子はいかにも
斜陽族の現実のかなしさをふくめて喋った。 「谷山さんのお弟子の発表会が近くありま....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
魚がタタミの上に溺死している。 万物死滅して泣く虫すらもない戦いの跡、ところが
斜陽をうけてスックと化石している娘の姿があるから、サルトルがおどろいた。言わずと....
「裏切り」より 著者:坂口安吾
ぼくが阿久津に働いていたので、日野が出入りするようになりました。彼が元子爵の息子だというのは本当です。 しかし奴めを
斜陽族と云うのはとんでもないことで、彼が戦前ぼくと中学同級のとき、すでに裏長屋同....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
しそうである。戦場の難民が占領軍の掲示場にたたずんでいるような全身に赤々と千里の
斜陽をあびてる面影は全然ない。どこの世の掲示場にも拭いきれない生活の重さ暗さがジ....
「九段」より 著者:坂口安吾
のが、旅館業者や玄人筋ではなくてズブの素人。それも売った方と同じような身分のまア
斜陽族――しかし、あかあかと
斜陽を身にあびている没落者とちがって、こっちの方は瞬....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
シフィック会社汽船オリサ号(五千三百五十九トン)に移り、六時抜錨して南進に就く。
斜陽影裏去烟漸散、一円邱上砲台孤。 (陽光斜めにさすなかで紋都を去り、汽笛のひび....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
かくれ行くのを見るのである。 今一つは、昼間の景はおもに夕方どきの光線で見る。
斜陽にありありと照し出されたり、ほのかに日のあたっていたりするものを見る。勿論、....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の鼠にぼやけた白い重い雲がかぶさっていた。 その梢の隠された疎林、疎林、疎林。
斜陽はすでに黄ばみかけたが、さして強くは輝かなかった。 ただひろびろとした燕麦....