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断念
「断念〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
断念の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
うしてその代りどれが本当の相手だか、さらに判別がつかなかった。彼はとうとう物色を
断念しなければならなかった。
中央停車場の外へ出て、丸の内の大きな星月夜《ほし....
「少年」より 著者:芥川竜之介
入れてある本を出した。が、鍛冶町《かじちょう》へも来ないうちにとうとう読書だけは
断念した。この中でも本を読もうと云うのは奇蹟《きせき》を行うのと同じことである。....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
N将軍と一しょにはなりません。」
「そうか? じゃ仕方がない。」
少将は容易に
断念した。が、また葉巻の煙を吐きながら、静かにこう話を続けた。
「お前は、――と....
「或る女」より 著者:有島武郎
報正新報」の切り抜きが入れてあるのだ。もう飛び出して行ってもおそいと思って葉子は
断念していた。やがてはたして二人は切り抜きを見つけ出した様子だった。
「なんだあ....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ち尽くして、夜の更《ふ》くるをも知らざりき。 「ああ、しかたがない、何も約束だと
断念《あきら》めるのだ。なんの百ぐらい! 惜しくはないけれど、欣さんに済まない。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
った。 対手は学士の方ですって、それまで申して占て貰いましたら、とても縁は無い
断念めものだ、と謂いましたから、私は嬉しくって、三銭の見料へ白銅一つ発奮みました....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
説を紹介するためではないのであるから、むしろここで下手な訳者注などを付けることは
断念して、その代りにできる限り原著の面影をその純粋の姿において読者に伝えることに....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
モルトケ大将が、シュリーフェン元帥の計画では重大条件であったオランダの中立侵犯を
断念したことが、最も有力な原因となっているものと私は確信いたします。ザール鉱工業....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
れ、私等婆様の中に、小児一人授けちゃくれさっしゃらぬ。それも可い、無い子だねなら
断念めべいが、提灯で火傷をするのを、何で、黙って見てござった。私が手ぼうでせえな....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
めの留紐を、ぶらりと皺びた頬へ下げた工合が、時世なれば、道中、笠も載せられず、と
断念めた風に見える。年配六十二三の、気ばかり若い弥次郎兵衛。 さまで重荷ではな....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
た。 贅沢です、生意気です、行過ぎています。思った恋をし遂げないで、引込んだら
断念めれば可い、そのために恋人が、そうまでにして生命を棄てたと思ったら、自分も死....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
風、しかも口数を利かぬ青年なり、とても話対手にはなるまい、またしないであろうと、
断念めていた婆々が、堪り兼ねてまず物優しく言葉をかけた。 宵から、灯も人声も、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
り、それに又神さまが、時節が来れば逢わしてもやると申されましたので、そちらの方の
断念は割合早くつきました。ただ現世に残した父母の事はどうあせりましてもあきらめ兼....
「活人形」より 著者:泉鏡花
かと坐して大胡坐。得右衛門思い切って「居さえすれば渡して進ぜる、居らぬが実じゃで
断念さっし。と言わせも果てず眼を怒らし、「まだまだ吐すか面倒だ。踏み込んで連れて....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
たとの事である。 しかし無力なモルトケが、断然シュリーフェン伝統の大迂回作戦を
断念する勇気はあり得ない。参謀本部の空気がそれを許すべくもない。また実際モルトケ....