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断片
「断片〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
断片の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
…何をうるさい、よけいな事はいわずと黙って見ているがいい。心の中をひらめき過ぎる
断片的な影を葉子は枯れ葉のように払いのけながら、目の前に見る蠱惑《こわく》におぼ....
「或る女」より 著者:有島武郎
選《え》り出そうとする自分を見いだしていた。いろいろな形に寸断された厚い西洋紙の
断片が木村の書いた文句の
断片をいくつもいくつも葉子の目にさらし出した。しばらくの....
「弓町より」より 著者:石川啄木
もあろうと思うが)の変化の厳密なる報告、正直なる日記でなければならぬ。したがって
断片的でなければならぬ。――まとまりがあってはならぬ。(まとまりのある詩すなわち....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
あったらしいが、しかし数多い彼の著述のうちで今日に伝わっているものはただわずかな
断片にすぎない。彼の考えによると、原子は不断に運動をしており、また永遠不滅のもの....
「温情の裕かな夏目さん」より 著者:内田魯庵
り、私は夏目さんの近年の長篇を殆んど読んでいないといって宜しい。よし新聞や何かで
断片的には読んでいるとしても、私はやはり初期の作が好きだ。特に短篇に好きなものが....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
小さい紙片を見せた。キャバレーの主人はそれを手にとってみたが、それは何か建築図の
断片らしく、壁体だの階段だの奇妙な小室だのの符合が並んでいたが、生憎ごく端の方だ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
の外には哲学も倫理もなきように思う今日、此の如く人文程度の低い日本では西欧知識の
断片零楮も猶お頗る愛惜しなければならない。眇たる丸善の損害は何程でもなかろうが、....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
て相当の産を作った例外の例があっても、斯ういう文壇の当り屋でも今日の如く零細なる
断片的文章を以てパンに換える事は決して出来なかった。 夫故、当時に在っては文人....
「橋」より 著者:池谷信三郎
査、精神鑑定を行った。以下に書きつけられた会話筆記は、その中から適宜に取りだした
断片的の覚書である。 問。被告は感情に何かひどい刺戟を受けたことはないか? 答。....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
塊を引き延ばしたとも、或いはたがいに離れようとして徒らに力なくもがいている粗野な
断片の集まりとも見えた。唯どう考えても偶然としか思えないのは、この粗野な
断片の一....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
えば雪の一片ごとに不思議の形があるようなもので、いずれも睡眠に世を隔つ、夜の形の
断片らしい。 すると、今見た女の顔は……何に憑いて露れたろう。 「何だか美しか....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
のではなく、いかにして霊界人が詐欺漢であり、又いかにして、それが分裂せる頭脳の一
断片であるかを証明せんとするかにある。その曇れる眼、その歪める頭脳は、到底われ等....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
て、秋草の花瓶ががらがらと壊れていた。石に化した羽衣を、打砕いたようである。その
断片の処々、女郎花を、桔梗を、萩を、流が颯と、脈を打って、蒼白い。 「御覧なさい....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
を展開する如き興味に充たされておる。椿岳小伝はまた明治の文化史の最も興味の深い一
断片である。 (大正十三年十月補記) 椿岳の名は十年前に日本橋の画博堂で小さな....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
て旧稿に由る。 二葉亭が明治二十二年頃自ら手録した生いたちの記がある。未完成の
断片であるが、その幼時を知るにはこれに如くものはなかろう。曰く、 余は元治元年....