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断腸
「断腸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
断腸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
潔だったので、実物よりも何層倍となく美しい顔を画き、しかもその画には秋風のような
断腸《だんちょう》のわびしさがにじみ出て居りました。画はたいへん実物の特徴をとら....
「女の決闘」より 著者:太宰治
冷く、女房の殺人の現場を眺め、手は平然とそれを描写しながらも、心は、なかなか悲愁
断腸のものが在ったのではないでしょうか。次回に於いて、すべてを述べます。 ....
「新生」より 著者:島崎藤村
いることを知った。
百十九
「噫《ああ》、万事休す。われに
断腸の思いあり。足下は自己を懺悔すと称《とな》えながら、相手方の生活を保証するこ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
けれども真逆に余に縋り附く訳に行かぬ、唯手を引かれたまま首を垂れて居る、余は実に
断腸の思いだ、憐みの心が胸一ぱいに湧き起った、殆ど我れ知らずに片手で秀子の背を撫....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
語道断、死中に活を拾い、生中に死に追われ、幾度か転々。或は生ける屍となり、或は又
断腸の想いに男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展開し尽されしにあらず、更に来るべ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
き悲しんだということが書いてある。してみると、世にはこういう理があると思われる。
断腸草 康煕庚申の春、徽州の人で姓を方という者が、郡へ商売に出た。八人の仲間が....
「新樹の言葉」より 著者:太宰治
、つるいない、つるいない、とずいぶん苦しく泣きころげた。子供心ながらも、ずたずた
断腸の思いであったのである。あのとき、つるの言葉のままに起きてやったら、どんなこ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
のであった。これらの回想や連想が、はじめて故郷を去った若者にはきわめてありがちの
断腸の思いと結び付いて、ジョヴァンニは思わず溜め息をついた。そうして、物さびしい....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ある。なおこの歌には、「禍故|重畳し、凶問|累に集る。永く崩心の悲みを懐き、独り
断腸の泣を流す。但し両君の大助に依りて、傾命|纔に継ぐ耳。筆言を尽さず、古今の歎....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
物腰物の言ひ方にもまだどことなく娘らしさが残つてゐる。母親にしてみれば、それも亦
断腸の種であるかも知れない。 夏川がこの一室へころがりこんだのは、まだ封鎖前の....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
釈迦|誘らへさせ給ふとも、用ひ参らせ候べからず。同じ地獄なるべし」 これなどは
断腸の文字といわねばならぬ。 また上野殿への返書として、 「鎌倉にてかりそめの....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
れではかようにして別離した者は再び相合うことはないのであろうか。これは人間として
断腸の問いである。私は今春、招魂祭の夜の放送を聞いて、しみじみと思ったのである。....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
は、切ないものである。うなされるとき、人の子の無限の悲哀がこもっているのだから。
断腸の苦悶もこもっている。そして、あらゆる迷いが。 人の子は、必ず、うなされる....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
えかねて、あんたなどの想像もつかぬほど苦しんだよ。 「クレルヴァルを殺してから、
断腸の思いでおれはスイスへ戻った。フランケンシュタインをかわいそうに思い、その憫....
「文学のふるさと」より 著者:坂口安吾
てしまえばよかった――という歌をよんで、泣いたという話です。 この物語には男が
断腸の歌をよんで泣いたという感情の附加があって、読者は突き放された思いをせずに済....