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「斯くて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

斯くての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
だ、併し此の様な事は何うでも好い、唯甚蔵の咽喉を握る様な秘密をさえ手に入るれば。斯くて暫く話の途切れた頃、頭の上の方で、何だか緩《にぶ》い足音とも云う様な響きが....
階段」より 著者:海野十三
時間はなかった。その翌日も又次の日も僕の身体の中には、「彼奴」が生長して行った。斯くて予定の七日間が過ぎてしまったあとには、僕の身体には飢えた「彼奴」が跳梁する....
地球盗難」より 著者:海野十三
いろ訊ね出そうとしたが、彼は説明の出来ない恐怖のためどうしても口を開かなかった。斯くてはこの第一問は遂に知ることが出来ないこととなり、第二の問題の方に懸かろうか....
厳島合戦」より 著者:菊池寛
ず山口へ引とり重ねて勢を催され候え。越中|殿して討死つかまつらん」と晴賢を落し、斯くて、三浦越中守、羽仁越中守、同将監、大和伊豆守等骨を砕いて戦った。三浦は、隆....
大阪夏之陣」より 著者:菊池寛
勝に罷成候へども大御所様御運つよきにて、御勝に罷成候」と『薩藩奮記』に出ている。斯くて、大阪方は明石全登、御宿正友、仙石|宗也の諸部将相次いで戦死し、城内では内....
小田原陣」より 著者:菊池寛
なかった。殊に家康の領内を行進するのであるから、こんな点抜け目のある男ではない。斯くて二十七日には、家康や信雄に迎えられて沼津城に入って居る。 一方北条方では....
無惨」より 著者:黒岩涙香
痛く怒りて妾を打擲し且つ金起を殺さんと迄に猛りたれど妾|巧みに其疑いを言解きたり斯くても妾は何故か金起を思い切る心なく金起も妾を捨るに忍びずとて猶お懲りずまに不....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
し殊に又夜に入りては欠さず余を「レローイ」珈琲館まで追来り共に勝負事を試みたり、斯くて七月の一夕、五時より六時の間なりしが例の如く珈琲館にて戯れ居たるに、衣類も....
黄金の腕環」より 著者:押川春浪
、 「ハイ、妾何んだか恐い様に思いますけど、阿父様の仰しゃる事なら参りましょう」斯くて相談は定まり、三人の娘は一人ずつ流星の落ちた森林を探検する事となった。 ....
バークレーより」より 著者:沖野岩三郎
き天変地異の生じない限り絶滅しないものである。 と、あるによっても明らかである。斯くて、此の三百七呎の高塔から美しい音楽の音の流れ初めたのは千九百十七年十一月二....
新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
うか』と云う問題に献身して、此の祖国を建設する事に努めなければならなかったのだ。斯くてイタリイの芸術は吾々の墳墓の上に栄えるのだ。」 吾々も矢張り云おう。諸君....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
か黒き色の 罪の黒糸 罪の黒糸。 さまざまの色ある糸の 綾を織る人の世の象 ああ斯くて日を織り月を 年を織り命を織りて、 人生を織りて行く梭か。 (その日のため....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
事となった。市郎の一隊は現場を中心として、附近の森や野原や村落を猟る事となった。斯くて夜半まで草を分けて詮議したが、安行の行方は依然不明であった。加之も夜の更け....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
はり、飽くまで恐れおののく自分を見守って生の岸端に足を踏み堪えなければならない。斯くて、慧鶴は生きる力を求めて、わずかに自分の中にある名望の慾に探り当てた。人に....
囚われたる現文壇」より 著者:小川未明
楽主義に立ったりしても、其処にはそれ/″\固い信念と強い主張と深い哲学とがある。斯くて人間性の生面に深く徹して行くことを忘れない。 今の我が文壇には右の如き心....