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「新円〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

新円の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
きる辛さに負けるようなものだと、やっと自分をおさえた。それに女ひとりでそれくらい新円のはいる商売は、もっと身を堕すか自分を汚すよりほかには、なさそうだ――と思い....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
預金封鎖、支払制限令、それから財産申告。再び物価価格統制にて物はかくれ、五百円の新円生活にては両面から苦しくなった。そこへ加えて食糧危機がいよいよ目の前にあらわ....
斜陽」より 著者:太宰治
になったようで、怒ったように口をゆがめて黙しました。 或る宮様のお住居として、新円五十万円でこの家を、どうこうという話があったのも事実ですが、それは立ち消えに....
トカトントン」より 著者:太宰治
かく花江さんは、局長にからかわれながらも、一週間にいちどくらいは二百円か三百円の新円を貯金しに来て、総額がぐんぐん殖えているんです。まさか、いい旦那がついたから....
淪落の青春」より 著者:坂口安吾
公で買った性質のものである。 株券は紙クズであり、預金は封鎖され、この山奥では新円稼ぎに映画館をブッ建てるわけにも行かず、ヤミ会社を始めることもできない。 ....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
心と闘志をふるいたたせた。 私は先ず年来の恩義を霊前に謝する意味に於て、多額の新円をたずさえて、幾たびか足を運び、そうすることによって、女の客間の交通手形のよ....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
性に怒りつぽくて、弱い奴にはのべつ怒鳴りつけ罵つて蹴飛ばしかねない勢ひ。そのくせ新円階級に会ふと、まるでもうダラシなく自然に揉手をしてオアイソ笑ひを浮べてしまふ....
西荻随筆」より 著者:坂口安吾
ピノチオなどゝいう文士御専用の喫茶室があったことなど、十何年前から耳にしている。新円景気などゝ云ったって、どうせ文士の行くところはカストリ屋に羽の生えたようなと....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
彼のモーニングの上衣とチョッキをぬがせた。 「そんなヨレ/\のワイシャツじゃア、新円階級に見えるものか。オイ、シャツは。シャツだって、どういうハズミで人目にさら....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
復興にのりだしたのは自然であるが、これを正規の復興に利用し、政党費までこの連中の新円に依存しようという量見を起した政党の無定見、一時しのぎのさもしい根性、未来の....
」より 著者:織田作之助
んような政治は困るね。金融封鎖もいいが、こりゃ一種の文化封鎖だよ。僕んとこはもう新円が十二円しかない」 「少しはこれで君も貯金が出来るだろう」 ひやかしながら....
私の文学」より 著者:織田作之助
金を作品のために使い、作品がかせぎ出した金は一銭も残そうとしなかっただけだ。私は新円と旧円のきりかえの時、二百円しか金がなかった。今でもそうだ。印税がはいっても....
大阪の憂鬱」より 著者:織田作之助
大阪商人から出ているという話である。 最近、四条河原町附近の土地を、五百万円の新円で買い取った大阪の商人がいるという。 焼けても、さすがに大阪だったのだ。―....
夜光虫」より 著者:織田作之助
」 と、言いながら、女中の手に素早く十円札を三枚掴ませた。復員した時、三百円の新円を貰っていたのだ。 「お一人ですか」 「いや、女と一緒です」 「どうぞ……」....
鷺娘」より 著者:大倉燁子
も楽じゃないわ。竹村さんがいた時分のように景気もよくないし、第一あなた、旧円から新円にかわる時、沢山な患者さん達がしこたま旧円を預けに来たんでしょう、それがみん....