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新秋
「新秋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
新秋の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旅愁」より 著者:横光利一
透明な脚先が、弁にかかったひとときの花底に流れる、いのちのような真新しさであり、
新秋のみのりにも通じる敬虔な祈りのようなもの。
――彼の希っているのは、そんな....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
なおばさんが、夕刻から来て、もうこまめに働らきはじめていた。 斯うしていつしか
新秋を迎える頃となった。テレスには篠懸の鼈甲色の美しい落葉が、時々カサと音して散....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
人間の行事もこと面倒だが、自然が行う行事もなかなか手数のかかる準備をやっている。
新秋の行事はすでに初夏においてそのことごとくが整頓準備されている。夏の初めのころ....
「香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
ある共通の事実だが食品を耽味するという道楽は、人間ばかりが持っている奢りらしい。
新秋の爽涼、肌を慰むるこの頃、俄に耽味の奢りが、舌端によみがえりきたるを覚える。....
「画道と女性」より 著者:上村松園
一双にすれば、辛くお間にあいそうに思ふ旨を述べ、結局お引受け申し上げたのでした。
新秋に入ると共に私は新しい作の着想や構図に思いを潜めた。そして、すでに出来ている....
「円朝花火」より 著者:正岡容
どの》坂へと、鉄輪の音響《おと》を立てながら走っていた。 十一時過ぎとはいえ、
新秋の宵の本郷通りは放歌高吟の書生の群が往来繁く、ときどき赤門のほうで歓声が上が....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
儚《はかな》い幻灯の玻瑠絵《はりえ》ほどに滲み出す。 京橋の金沢――あすこは、
新秋九月の宵がよかった。まだ、暮れきって間もない高座が、哀しいくらい明るくって、....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
こととをまったく計算に入れていないからである。女は、その時私の帽子(たしかいまだ
新秋で麦藁帽子)を自分の膝の上に置いてくれたことが、どんなにどんなに嬉しかったろ....