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「新芽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

新芽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
の中《なか》へはいって行った。そのまた埃《ほこり》じみた硝子戸の外はちょうど柳の新芽をふいた汽車の踏み切りになっていた。わたしたちは隅のテエブルに坐り、何か椀《....
星座」より 著者:有島武郎
られかかったんだ。けれどもだ、縁の先には大きな葡萄棚《ぶどうだな》があって、来年新芽を吹きだしたら、俺は王侯《おうこう》の気持になれそうだ。 「何しろ学校で袴《....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
、丸味のある丘には一面茶の木が鶯餅《うぐいすもち》を並べたように萌黄《もえぎ》の新芽で装われ、大気の中にまでほのぼのとした匂いを漂わしていた。 私たちは奥座敷....
三人の双生児」より 著者:海野十三
、妾は庭へ下りると立葵の花を折ってきたり、蜻蛉草を摘んできたり、或いはまた大笹の新芽から出てきた幅の広い葉で笹舟を作ってもってきたりするのであった。しかしながら....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
焦燥に満たされて来た。いつからか凝り始めた盆栽の手入れをしながら、うっかり植木の新芽を摘みすぎてしまったり、正規の回診時間にひどい狂いが起きたりするうちはまだよ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
っているので、今までは判らなかったが、今かの女が近寄ってみると、ぽちぽちと紅色の新芽が、無数に蔦の蔓から生えていた。それは爬虫類の掌のようでもあれば、吹きつけた....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
白粉っ気はないが、道化らしい顔がのぞく。 馬を洗う音や、曲奏の大喇叭の音。楡の新芽の鮮緑がパッと天幕に照りはえ、四月の春の陽がようやく高くなろうとするころ、サ....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
くしゃしながら帰って来る。 春にはなる。街路樹のマロニエやプラタナスが日一日と新芽を出して来る。僕は郊外の小高い丘の上にいたのだが、フランスの新緑には、日本の....
」より 著者:池谷信三郎
たこの自分に対して、憎悪さえも感じていない彼女を見た。 7 街路樹の新芽が眼に見えて青くなり、都会の空に香わしい春の匂いが漂ってきた。松の花粉を浴び....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
びていた。 割栗石の鋪石へ一歩靴を踏み出す。すると表の壁の丁度金鎖草の枝垂れた新芽が肩に当るほどの所で門番のかみさんと女中のロウジイヌとがふざけて掴み合ってい....
もみの木」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
のが、このもみの木は、いやで、いやで、なりませんでした。 つぎの年、もみの木は新芽ひとつだけはっきりのび、そのつぎの年には、つづいてまた芽ひとつだけ大きくなり....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
って、蠑※の這うのが手近くも見えた。 萱や、芒や、桔梗や、小萩や、一面にそれは新芽を並べて、緑を競って生え繁っていた。その上で荒熊の如き武道者が、乙女の如き美....
唇草」より 著者:岡本かの子
て来て、そこから連れ立って、山の手の葉桜がまばらに混る金目黐垣が、小さい白い花を新芽の間につけている横町を歩きながら、いった。 「僕寄宿舎を出て、ある先輩の家へ....
親木と若木」より 著者:小川未明
気持ちのいいほど、ぐんぐんと伸びたのであります。 「お母さん、山吹から、あんなに新芽が出ましたよ。」と、勇二は、母に告げました。 母は、勇二の告げる前から、そ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
ものを発見した。それは――生憎何の木かはちょっと僕には見当もつかない。が、兎に角新芽を吹いた昔の並木の一本である。僕の覚えている柳の木は一本も今では残っていない....