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新酒
「新酒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
新酒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
秋田を刈った。冬ごもり時しも、旨飯を水に醸《かも》みなし客を犒《ねぎら》う待酒の
新酒の味はよろしかった。娘はどこからしても完璧の娘だった。待酒を醸む場合に、女は....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
た。 船がまたもや迂廻した。 その時、遥かの前方から、意外な光が射して来た。
新酒のような光であった。間違いなく朝陽の光であった。 朝陽が射し込んで来たので....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
はその板敷きのところにたくわえてある。買いに来るものがあれば、桝ではかって売る。
新酒揚げの日はすでに過ぎて、今は伏見屋でも書き入れの時を迎えていた。売り出した新....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に嘆息した。 隣家伏見屋の酒店に番頭格として働いている清助がそこへ顔を見せた。
新酒売り出しのころにもかかわらず、昔を忘れない清助はそのいそがしいなかにわずかの....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
間に存する一の重要な差別の一面を暗示するもののようである。 客観のコーヒー主観の
新酒|哉(昭和三年十一月、渋柿) * 甲が空間に一線を劃する。 ....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
い。(この一文を書いて四ヶ月ばかり経ってから、私はふと高青邱の「呉中の新旧、遠く
新酒を寄す」と題する詩に、「双壷遠く寄せて碧香新たに、酒内情多くして人を酔はしめ....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
秋は邸のまわりの栗の樹からうんと実もとれますし、来秋から邸についた葡萄畑で素敵な
新酒を造りますよ。どうぞおひまを見てお訪ね下さい。 相手になっているのは、これ....
「鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
よ。……そうして一度は、その愛くるしい……」 「斬るぞ!」 キラリと白い光が、
新酒のように漲っている夕陽の中に走った。菊弥が三寸ほど抜いたのである。とたんに、....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
倉の中の光景は? 白昼の陽光が、新しい藁束のように、穴倉の中へ射し、穴倉の中は、
新酒を充たした壺のように明るかったが、頭でも打ったのか、仰向けに仆れ、手足をバタ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
新酒 「……先生、お茶が入りました」 「う、う、う」 「だいぶと、おひまのようで....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
菱垣の船印《ふなじるし》がねえや」 「灘《なだ》の酒廻船《さけかいせん》か」 「
新酒船《しんしゅぶね》は八月のことでえ」 「土佐の百尋石船《ひゃくひろいしぶね》....
「濁酒を恋う」より 著者:佐藤垢石
って行くさまが、ひとりでに眼に浮かぶ。 濁酒と言えば、日本派の全盛であった頃、
新酒店財布鳴らして入りにけり というような俳句があったと記憶しているが、このご....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
広く見えている伯林の空にやがて雪雲が覆い冠さって来ると古風な酒店の入口にビールの
新酒の看板が出る。夜町の鋪道は急に賑い出す。その名ごりの酔いどれの声が十二時過ぎ....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
尤も耳障に存候処に御座候。然し「われに酔ふべく頭痛あり」、また「豊年も卜すべく、
新酒も醸すべく」などは至極結構と存じ候。凡て近来の俳句一般に上達、巧者に相成候様....
「古事記」より 著者:太安万侶
です。 多くの土を築き堅めた宮で、 りつぱな材木の檜《ひのき》の御殿です。 その
新酒をおあがりになる御殿に生い立つている 一杯に繁つた槻の樹の枝は、 上の枝は天....