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「方円〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

方円の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
身代わり花嫁騒動が、いつもながらのあざやかな右門の手さばきによってあのとおりな八方円満の解決を遂げてから、しばらく間を置いた二月上旬のことでしたが、それも正確に....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
骸《なきがら》である。残骸を論《あげつら》って中味の旨《うま》きを解せぬものは、方円の器《うつわ》に拘《かか》わって、盛り上る酒の泡《あわ》をどう片づけてしかる....
草枕」より 著者:夏目漱石
ものではない。あらん限りの感覚を鼓舞《こぶ》して、これを心外に物色したところで、方円の形、紅緑《こうろく》の色は無論、濃淡の陰、洪繊《こうせん》の線《すじ》を見....
無惨」より 著者:黒岩涙香
しょう髪の毛の縮れるには夫だけの原因が無くては成ぬ、何が原因か全体髪の毛は先ず大方円いとした者で、夫が根から梢まで一様に円いなら決して縮れません何うかすると中程....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
、よくせきの事なればこそ我から折れて出て、「お前さんさえ我《が》を折れば、三方四方円く納まる」ト穏便をおもって言ッてくれる。それを無面目にも言破ッて立腹をさせて....
科学者とあたま」より 著者:寺田寅彦
人間は過誤の動物である」という事実だけを忘却しているのである。一方ではまた、大小方円の見さかいもつかないほどに頭が悪いおかげで大胆な実験をし大胆な理論を公にしそ....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
私は橋の下でも、あるいは大極殿の山門の中でも決して辞退はしないつもりである。水は方円の器に従うが如く、私はそれに応じての私の身を置くに適当な何かを以て飾り立て、....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ある種のうつくしいものは、神が惜んで人に与えない説がある。なるほどそういえば、一方円満柔和な婦人に、菩薩相というのがある。続いて尼僧顔がないでもあるまい。それに....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
弁信は茂太郎の歌に干渉し、こうして駒井は茂太郎に数理を教える。茂太郎自身としては方円の器《うつわ》に従いながら、詩興そのものは相変らず独特で、調律と躍動そのもの....
新女大学」より 著者:福沢諭吉
前には旧女大学の条々を論破し去て、更らに新女大学の新主義を唱うることなれば、新旧方円相容れずして世間に多少の反対論もある可し。旧説は両性の関係を律するに専ら形式....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
味や、喝するような威々しさを感ずるに過ぎなかった。総体として、※の聖音に陶酔し、方円半月の火食供養三昧に耽る神秘行者らしい俤は、その何処にも見出されないのであっ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
井七之丞、近藤隆左衛門の人々であった。 一、笑(調所笑左衛門のこと)吐血の事、方円寺にては無之御座候。全く、胃血之よしに御座候。最早死去の事と相成り可申と存候....
露の答」より 著者:坂口安吾
、右から左へ曲るぐらいにこだわる量見はないのですから、光風霽月と申しますか、水従方円器と申しますか、明鏡止水の心境です。内閣の方では全然こだわらぬにも拘らず、之....
三国志」より 著者:吉川英治
をねじ切った。 中から出てきたのは、一|顆の印章であった。とろけるような名石で方円四寸ばかり、石の上部には五龍を彫り、下部の角のすこし欠けた箇所には、黄金の繕....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
の例外を除けば、これを独立させて好みの形をこしらえることができぬのに、是のみ大小方円思いのままで、神にも捧げ人にも進めるのに、これを供するものの心持が自由に現わ....