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「方角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

方角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
な猪熊《いのくま》の爺《おじ》は、たれよりも先に逃げかかったが、どうした拍子か、方角を誤って、太刀《たち》をぬきつれた侍たちのただ中へ、はいるともなく、はいって....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
しなめるように、老眼鏡の眼を洋一へ挙げた。 「東枕《ひがしまくら》でしょう。この方角が南だから。」 多少心もちの明《あかる》くなった洋一は、顔は叔母の方へ近づ....
「少年」より 著者:芥川竜之介
の境内《けいだい》に見かけた二匹の犬を思い出した。あの犬は入り日の光の中に反対の方角へ顔を向けたまま、一匹のようにじっとしていた。のみならず妙に厳粛《げんしゅく....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
合せたように、じろりと彼を振り返った。しかし驚いたけはいも見せず、それぎり別々の方角へ、何度も叩頭《こうとう》を続け出した。「故郷へ別れを告げているのだ。」――....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
Ｓ村へ出る途《みち》は高い砂山の裾《すそ》をまわり、ちょうど海水浴区域とは反対の方角に向っていた。海は勿論砂山に隠れ、浪の音もかすかにしか聞えなかった。しかし疎....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
れは境の襖の襖側にぴったりと身を寄せたまま、夏外套や麦藁帽子の始末をしようと云う方角もなく、涙ぐんだ涼しい眼に、じっと天井を仰ぎながら、華奢《きゃしゃ》な両手を....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
果てもなく海上を吹きまくる。目に見える限りはただ波頭ばかりだ。犬のような敏捷さで方角を嗅ぎ慣れている漁夫たちも、今は東西の定めようがない。東西南北は一つの鉢の中....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
地方の事だから、板葺屋根へ上って※しても、実は建連った賑な町家に隔てられて、その方角には、橋はもとよりの事、川の流も見えないし、小路などは、たとい見えても、松杉....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
だ何も知りなさらんかい。」 「あい、昨夜初めてこっちへ流込んで来たばかりさ。一向方角も何も分らない。月夜も闇の烏さね。」 と俯向いて、一口。 「どれ延びない内....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
捨山、田毎の月ともあろうものが、こんな路で澄ましているって法はありません。きっと方角を取違えたんでしょう。お待ちなさいまし、逆に停車場の裏の方へ戻ってみましょう....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
たが、遮るものは何にもない。 さては、暗の中に暗をかさねて目を塞いだため、脳に方角を失ったのであろうと、まず慰めながら、居直って、今まで前にしたと反対の側を、....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
いようだ。それにまだ起きているかどうかわからない。」 そういいながら、その家の方角をさがしましたが、どうしてもみつかりませんでした。 「どうもひどいことだ。東....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
んか。竹杖は忽ち竜のように、勢よく大空へ舞い上って、晴れ渡った春の夕空を峨眉山の方角へ飛んで行きました。 杜子春は胆をつぶしながら、恐る恐る下を見下しました。....
「墓」より 著者:秋田滋
まった。そこで、墓番は用心に用心をして歩いてゆくと、まもなく、マランヴェール路の方角にあたって、幽かな灯影が見えた。抜足差足、跫音を忍ばせて墓石と墓石のあいだを....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
も、公園にも、数の植わった邸町にも、土地一統が、桜の名所として知った場所に、その方角に当っては、一所として空に映るまで花の多い処はない。……霞の滝、かくれ沼、浮....