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方角違い
「方角違い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
方角違いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
いだしたので、伝六が必死に呼び止めました。 「あっ、だんな! だんな! そっちゃ
方角違いじゃごわせんか。今のそのほしの居どころは下谷ですよ、下谷の仲町ですよ!」....
「こころ」より 著者:夏目漱石
ちがや》で生れた女なので、奥さんは冗談半分そういったのである。ところが先生は全く
方角違いの新潟《にいがた》県人であった。だから奥さんがもし先生の書生時代を知って....
「明暗」より 著者:夏目漱石
客のいる事を悟った。というより、彼はようやく人間の存在に気がついた。今までまるで
方角違いの刺戟《しげき》に気を奪《と》られていた彼は驚ろいた。もちろんその驚きは....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
てゆきたいような気がする。それで二人にくっついて池の端《はた》を図書館の横から、
方角違いの赤門の方へ向いてきた。そのとき三四郎は、よし子に向かって、 「お兄《あ....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
るくらいなもんだ」というんだ。 それにはボースンはひどくしょげた。水夫たちも、
方角違いの飛ばっちりに、いささか、恐縮したのだった。 だがそれは、問題にならず....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
なような気がした。土手で知ってる人に会わんものでもない。行田に行ったというものが
方角違いの方面を歩いていては人に怪しまれる。で、かれは昨夜聞いておいた鳥喰のほう....
「難船小僧」より 著者:夢野久作
船はたしかに計算より遅れている。しかも航路をズッと北に取り過ぎて、晩香坡とは全然
方角違いのアドミラルチー湾に深入りして雪を被った聖エリアスの岩山と、フェア・ウェ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
梗様を救いの人数であった。 すなわち田安家の裏門から、この夜こっそり忍び出て、
方角違いの玉川の方へ走って行った一団なのであるが、どこをどうして廻わって来たもの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
様まいる――おやおや、この宛先は大湊だよ」 「まあ大湊……それではまるでこことは
方角違い、早く届ければよかったねえ」 「そうだな、宇治から大湊までは一息だが、こ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
しゃるのでございます」 「浅草の方へ出たいと思います」 「浅草へ? それは飛んだ
方角違いでございます、と申し上げたところで、私も実は浅草へ参る道は存じませんので....
「夏の花」より 著者:原民喜
、どの女もどの女も変りはてた相をしていたが、しかし彼の妻ではなかった。しまいには
方角違いの処まで、ふらふらと見て廻った。水槽の中に折重なって漬《つか》っている十....
「今戸心中」より 著者:広津柳浪
にはいつごろ着くんでしょう」 「神戸に。それは、新橋の汽車でなくッちゃア。まるで
方角違いだ」 「そう。そうだ新橋だッたんだよ」と、吉里はうつむいて、「今晩の新橋....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
よそ》にして独り女子を警しむ、念入りたる教訓にして有難しとは申しながら、比較的に
方角違いと言う可きのみ。 一 婦人は夫の家を我家《わがいえ》とする故に唐土《も....
「緑衣の女」より 著者:松本泰
ているA老人を旅館に残しておきながら、停車場からすぐ旅館へ行かずに、飛んでもない
方角違いのH通りを疾走《はし》っていたのは不思議じゃアありませんか。私はA夫人も....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
辺で行き倒れになっていたそうだ。尾久へでも行くつもりだったろうが。いや、尾久とは
方角違いだしなあ。此処を出たのが五日で、七日の朝に病院へ運んだっていうんだから、....