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施与
「施与〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
施与の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「先生への通信」より 著者:寺田寅彦
子供が喜ぶことだろうと思いました。式が済むと、室の外にいた貧民が一時に押し込んで
施与を受けようとするので、なかなかの大混雑で、やっとの事で出て来ました。 降誕....
「朝飯」より 著者:島崎藤村
言葉に力を入れて、堅く堅く誓うように答えた。 やがて男は元気づいて出て行った。
施与ということは妙なもので、施された人も幸福ではあろうが、施した当人の方は尚更心....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
…… 坊主が土下座して「お慈悲、お慈悲。」で、お願というのが金でも米でもない。
施与には違いなけれど、変な事には「お禁厭をして遣わされい。虫歯が疚いて堪え難いで....
「蝦蟇」より 著者:豊島与志雄
蟇のことを私の国では俗にわくどうと云うのである。その老人は川魚を取ったり、些細な
施与を村人から受けたりして、暮していたが、彼の重な収入はわくどうに在った。蝦蟇を....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
みに与《あずか》ることを拒んだ。独力できりぬけてゆこうと決心した。母が恥ずかしい
施与《せよ》を受けたり求めたりしてるのを見て、彼は幼いころから非常に心を痛めてい....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。その志は親切だった。しかし、クリストフの困窮を見て取ったことや、その御馳走が
施与《ほどこし》に等しいことを、どしりと胸にこたえさせるような態度だった。クリス....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
同情したからのことであると言い、そして引き出しを開きながら、五十フランの紙幣――
施与――を差出した。それを彼女は拒絶した。 彼女はある官省に職を求めようとした....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
んできた。金のある者もない者もミリエル氏の門をたたいた。後者は前者が置いていった
施与を求めるためである。一年たたないうちに司教は、あらゆる慈善の会計係となり、あ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
るようなふうで身をかがめていた。ジャン・ヴァルジャンはそこに歩み寄って、いつもの
施与《ほどこし》を手に握らしてやった。乞食は突然目を上げて、じっとジャン・ヴァル....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なかった。弟はおとなしい吝嗇家《りんしょくか》で、牧師だから貧しい人々に出会えば
施与をしなければならないと思ってはいたが、小銭だの法価を失った銅貨だのしか恵まな....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
堂の弥撒《ミサ》に連れて行った。そこはきわめて貧しい町だったので、彼はたくさんの
施与をして、会堂の中では不幸な人々に取り巻かれた。そのために、サン・ジャック・デ....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
」と少年はしきりに笑っている。 ああ、少年は火葬場に骨拾いに来る人を待ち受けて
施与を貰うために、この物淋しい月の夜をこんなところに彷徨いているのだ。 五位鷺....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
なりとぞ今現に検するに御廟の辺及三山の際に蔓生す毎年夏中是を摘みて諸州有信の族に
施与の料とせり其長四五寸に過ぎず色青苔の如し按ずるに後成恩寺関白|兼良《かねら》....
「迷信解」より 著者:井上円了
すでに死の定まれるを聞きたれば、財産を残すの必要なきを悟り、これをことごとく人に
施与して貧民の救助に用いたり』と。筮者曰く、『その一言にて疑いを解けり。足下は人....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
た。 「東国の逆乱もすみやかな静謐を見、相共によろこばしい。さっそく将士の軍功の
施与は、綸旨の下に、朝廷で宛て行うであろう。されば尊氏には、一日も早く帰洛し、六....