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旅寝
「旅寝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅寝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
こに判断を二亙《ふたわた》らす障《さわ》りがあった。 季節は初冬に入っていた。
旅寝の衣には露霜が置いていた。翁は湿り気をふるって起上った。僅かに残っている白い....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
だが、かえりつくと、そこに三つ指ついてつつましく待っていたものは、前夜来から
旅寝の間の侍女として伊豆守がお貸しさげくださったあのゆみで、右門はまだ朝食もとっ....
「新生」より 著者:島崎藤村
の無いような、仏蘭西風の銅版画としては極く有りふれたものであった。岸本が一年近い
旅寝の寝台《ねだい》はその額の掛った壁によせて置いてあった。
「この部屋に掛って....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ほとんど狂せんばかりに悲嘆したことを僕は知っている。それにもかかわらず一度異境に
旅寝しては意外に平気で遊んでいる。さらばといって、君に熱烈なある野心があるとも思....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
一夜 孟不疑という挙人(進士の試験に応ずる資格のある者)があった。昭義の地方に
旅寝して、ある夜ある駅に泊まって、まさに足をすすごうとしているところへ、※青の張....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
はいて捨てるは毒舌三昧、ああこれからが面白いが、そなたに別れるこの苦しさは、少し
旅寝の枕を濡らそう。楓どの、さらばじゃ」 例によって、妙な調子のあらぬ言葉を残....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
思い疲れた日なぞには、さすがに昨日のことを心細く思い出す。十一月にはいってからは
旅寝の朝夕もめっきりと肌寒い。どうかすると彼は多吉夫婦が家の二階の仮住居らしいと....
「狂乱」より 著者:近松秋江
てみることもあったが、一度も途中で出会わなかった。 その内にも秋は次第に闌けて
旅寝の夜の衾を洩れる風が冷たく身にしむようになってくるにつれて、いつになったら、....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
たなら、命の助かる事もあろうが、只|不便なのは忰の孝助、敵の行方の知れぬ時は一生
旅寝の艱難困苦、御主のお家も立ちません、気の毒な事と気がついたら心を入れかえ善人....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
仰しゃるは御尤もなこと、実は私の忰山之助と申す者と三年前から巡礼を致して、長い間
旅寝の憂苦労を重ね、漸く今日|仇を討ちましたが、山之助は先達て仔細有って亡なりま....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
歌はそれ以前、恐らく持統六、七年あたりではなかろうか。 一首は、阿騎の野に今夜
旅寝をする人々は、昔の事がいろいろ思い出されて、安らかに眠りがたい、というのであ....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
夜寒の寝覚を思ひやり、高楼に上つて砧を擣つ。志の末通りけるか、万里の外なる蘇武が
旅寝に故郷の砧きこえしとなり。妾も思ひ慰むと、とてもさみしきくれはとり、綾の衣を....
「俳句に於ける象徴的表現」より 著者:種田山頭火
ういう問題はお互に協力して研究すべきものではないかと思う。 病雁の夜寒に落ちて
旅寝かな 芭蕉 僅かの花が散りければ梅は総身に芽ぐみぬ 井泉水 ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
思へば六とせそのかみに、妙の御法ををさめんと、わが故郷を後にして、深雪の山に
旅寝して、ボウダの国に入りにしが、今また雪の山に来て
ボウダの国のわが友の、思....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
きぬらむと思ふよりよもの山辺にちる心かな 夜もすがら花のにほひを思ひやる心や嶺に
旅寝しつらむ 花ゆゑにかからぬ山ぞなかりける心は春の霞ならねど のような調子で、....