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旅心
「旅心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
を漂わした。その香をかぐと、ともするとまだ外国にいるのではないかと思われるような
旅心が一気にくだけて、自分はもう確かに日本の土の上にいるのだという事がしっかり思....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
側に見て、停車場《ステーション》の方へ旅衣《たびごろも》七日《なのか》余りの足を
旅心地に移す。出逢うは皆京の人である。二条《にじょう》から半時《はんとき》ごとに....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
役者やおへんろさんや、子供を連れた漁師の上さんの中に混って、私も何だか愁々として
旅心を感じている。私が銀杏返しに結っているので、「どこからおいでました?」と尋ね....
「帆」より 著者:宮本百合子
ないい天気であった。 旅客の姿、赤帽の赤い帽子、粗末な停車場なのが却って藍子の
旅心を誘った。 「どうします?」 尾世川がバスケットを取って戻って来た。 「―....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
する女として感じる母の見識というものに疑問も感じた。そういう気分で宿々に泊る母の
旅心は窮屈であったろうし、同行する父にとってもかさだかであったろう。 いろいろ....
「道標」より 著者:宮本百合子
りたのだった。が、ステーションの混雑にひきつづく予想外のホテル難で、先ず伸子が、
旅心をくじかれた。ホテルのカウンターにぐっと上半身をもたせこんで部屋のかけ合いを....
「旅愁」より 著者:横光利一
「どうもこの部屋へ来ると、自分の部屋のような気がして困るな。まだこれや、僕たち
旅心がぬけないんだね。」
「あたしもそうなの。他人の部屋と自分の部屋と同じように....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
く》を散歩してみようかという気になったのも、小田原宿の夜の気分に浸って、そうして
旅心を漂わせてみようというのでもなく、何かしかるべき商売柄の掘出し物にでもありつ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
うに、嬉しがって、声高に読み且つ吟じて行くという有様です。 白河の関にかかりて
旅心定まりぬ――なるほど、
旅心定まりぬがいい――この一句が、今日のおれの
旅心を道....
「旅へ出て」より 著者:宮本百合子
て 胡蝶は舞はでそよ風の吹く なつかしき祖母の住居にありながら まだ
旅心失せぬ悲しさ なめげなる北風に裾吹かせつゝ 野路をあゆめば都恋しや ら....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
旅へ、引き出されたことを惻々と、不愍に思わざるを得なかった。 複雑極まる二人の
旅心! しかし表面は二人ながら、朗かに笑い朗かに語り、宿りを重ねて行くのであっ....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
役者やおへんろさんや、子供を連れた漁師の上さんの中に混って、私も何だか愁々とした
旅心を感じた。 私が銀杏返しに結っているので、「どこからお出でました?」と尋ね....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
頑丈《がんじょう》で、肩や腕などまるまるとふとっているのだ。膚が陽に焼けていた。
旅心《りょしん》
一
歌子は、肩巾のひろい、色のあさ黒い女だ....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
が反射するのであろうか。 なんと静かな、親しみ深い風景であろう。南国の眺めは、
旅心に清麗の情を添えてくれるのである。 三 午すこしまわった頃、汲江の奥....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
およそ旅先の旅館で、深夜、厠へ通うほど、ほかの部屋へ気がひけるものはない。他人の
旅心地と快い眠りを妨げまいと思い、あたかも枕さがしのごとく、そうと起きては、そう....