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旅愁
「旅愁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅愁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
ずき》に蟹《かに》と云うのだから、僕の満足は察してくれ給え。実際僕は久しぶりに、
旅愁《りょしゅう》も何も忘れながら、陶然《とうぜん》と盃《さかずき》を口にしてい....
「佐渡」より 著者:太宰治
では無かった。 この料亭の悪口は言うまい。はいった奴が、ばかなのである。佐渡の
旅愁は、そこに無かった。料理だけがあった。私は、この料理の山には、うんざりした。....
「新生」より 著者:島崎藤村
は無い。「国の方へ行ったら思うさま遊ぶぞ」こんなことを言って、遣瀬《やるせ》ない
旅愁を紛らわそうとする旅行者もある。国の方の言葉、国の方の血、国の方の人――求め....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
せるのは何と皮肉であろう。だが、人が或る勝景を旅する、その当時は難路のけわしさに
旅愁ばかりが身にこたえるが、日を経ればその
旅愁は却ってその勝景への追憶を深からし....
「新樹の言葉」より 著者:太宰治
な会話をしたのを、ぼんやり覚えている。山峡のまちに居るのだな、と酔っていながらも
旅愁を感じた。 宿に送りとどけられ、幸吉兄妹に蒲団までひいてもらったのだろう、....
「雀」より 著者:太宰治
がいまでもはっきり頭に残っているところから考えると、或いは僕はそのとき柄にもなく
旅愁に似たセンチメンタルな気持でいたのかも知れないね。 「兵隊さん、雨に濡れてし....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
」 始め新吉も女を見るにつけ、どの女からもおみちに似通うところを見付けて一つは
旅愁を慰めもし、一つは強い仏蘭西女の魅力に抵抗しようとしていた。だがやがて新吉は....
「偶然の産んだ駄洒落」より 著者:九鬼周造
デジャ(既に)ポネー(小馬)だからといった。人を馬鹿にしているこの駄洒落は異郷の
旅愁をかえって慰めてくれた。
旅愁は人生の旅にもおそいかかってくる。軽い駄洒落も時....
「飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
、汽車のでるまで雨中に立っていた。私はヒダそのものに見送られているようなノンキな
旅愁を感じたのである。 高山へつくと、長瀬旅館から車が迎えにでていてくれた。た....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
の一人娘のお米が別して正二郎をもてなし、両親もそれを認めている様子が、一そう彼の
旅愁をなぐさめたのである。 イタチ組の悪業にたまりかねた町の人々は寄々相談のあ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
でボンヤリ見ていてもいいが、メリメがヴィナスの石像に殺される男の幻想を得たような
旅愁を、実はすべての旅行者が感じる理由があるのかも知れん。日本にも、それぐらいの島があるということにしておこうよ。....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
新しい長編小説に近代小説の思想性を獲得しようと奮闘した横光利一の野心が、ついに「
旅愁」の後半に至り、人物の思考が美術工芸の世界へ精神的拠り所を求めることによって....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
ころに蹴つまずきながら、走って行く一台の馬車は、漂泊の姿そのもののように、一抹の
旅愁を引くのに充分であった。 それは、カウボーイの土地である。未だ草分け時代の....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
って波の静かなるを見る。二十日余り私の意をみたすものにも遇わず、ただ白雲について
旅愁を思うのみである。) 赤道直下は短日にして、午後六時半には全く暗黒となる。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
。日は暑かったが、校舎の内部はまだ生々しい木の香がぷんぷんと匂って、何か虔ましい
旅愁をさえ味わせられた。 昨日、殿下の御休憩所に当てられた一室をその戸口から拝....