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旅衣
「旅衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
旅衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
った何やらかやらをやたらに並べ立てた店を両側に見て、停車場《ステーション》の方へ
旅衣《たびごろも》七日《なのか》余りの足を旅心地に移す。出逢うは皆京の人である。....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
も、まだ/\山の中だ。
四時過ぎになると、翁の部屋で謡がはじまった。「今を初の
旅衣――」ポンと鼓が鳴る。高砂だ。謡も鼓もあまり上手とも思われぬが、毎日午後の四....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
し紅の焔を吐きぬ。 愉快という愉快は世に数あれど、つつがなく長の旅より帰りて、
旅衣を平生服の着心地よきにかえ、窓外にほゆる夜あらしの音を聞きつつ居間の暖炉に足....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
けり、でいっぱいに並ぶ。「いかに弁慶」から台詞《せりふ》の受渡し、「いざ通らんと
旅衣、関のこなたへ立ちかかる」――弁慶を前にして本舞台へかかる。道庵も、こいつ、....
「源氏物語」より 著者:紫式部
しいと言ってもあなたはもう法師生活に慣れていらっしゃるのですから」 それから、
旅衣うら悲しさにあかしかね草の枕《まくら》は夢も結ばず 戯談《じょうだん》ま....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ら、人目を遠慮していずに逢いに行きたいとさえ源氏は思った。 露けさの昔に似たる
旅衣《たびごろも》田蓑《たみの》の島の名には隠れず と源氏は歌われるのであっ....
「妾の半生涯」より 著者:福田英子
数多《あまた》の国のますらおが、赤い心を墨で書き、国の重荷を背負いつつ、命は軽き
旅衣《たびごろも》、親や妻子《つまこ》を振り捨てて。(詩入《しいり》)「国を去っ....
「犬神娘」より 著者:国枝史郎
お身の上というものは! 何んと申してよろしいやら、涙あるばかりでございます。 「
旅衣夜寒むをいとへ国のため草の枕の露をはらひて」という、望東尼様の惜別の和歌に送....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
ふかしと感じ、或は衣更てはや膝に酒をこぼしけりと佗びしがり、時には汗や埃に汚れた
旅衣を花の前に恥かしく思うと詠み、千代女は、「我裾の鳥もあそぶやきそはじめ」と我....
「桜花を詠める句」より 著者:杉田久女
の歯もざらざらと、花埃をつけている。人間臭い、風景である。 花の前に顔はづかしや
旅衣 園女 旅づかれ庭の桜にやる目かな より江 元禄の句は、相変わらず主観....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
義らしいことであった。
ざんば岬を
後にみて
袖をつらねて諸人の
泣いて別るる
旅衣
益満が、大きい声で、唄いながら、庭の生垣のところから、覗き込んだ。
「....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
によって夕方なぞにお発ちになろうなんてお考えになったのかな。 文麻呂 人目を忍ぶ
旅衣と云う奴さ。でも、親父、あれで内心東国にはとても抱負があるらしいんだ。まあ、....
「空家」より 著者:宮崎湖処子
ごと》を語れり、一生の悲哀と快楽を短か夜の尽しもあえず鶏は鳴きぬ、佐太郎は二度の
旅衣を着て未明より誘い来たれり、間もなく父老|朋友《ほうゆう》を初め、老媼女房阿....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
素朴の印象に冬の旅情を慰めたのであったが、このたびはその思い出を求めて再びここに
旅衣を脱いだのである。ところが、僅かに五、六年の間に、湯野浜温泉の情趣は荒みきっ....
「三国志」より 著者:吉川英治
操が、君の芳魂をつつんでもらいたいため、わざわざ携えてきた粗衣に過ぎんが、どうか
旅衣として、雨露のしのぎに着てもらいたい。これくらいのことは君がうけても誰も君の....