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「旅路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

旅路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
むイヴのように、静かに小さくうねる水の皺《しわ》を見やりながら、はるかな海の上の旅路を思いやった。 「早月さん、ちょっとそこからでいい、顔を貸してください」 ....
富士」より 著者:岡本かの子
。 鶏《とり》が鳴いて東《あずま》の国の夜は開けかけた。翁はきょうこそ見ゆれと旅路の草の衾《ふすま》から起上がった。きょうもまた漠々たる雲の幕は空から地平に厚....
雛がたり」より 著者:泉鏡花
も、紅糸で底を結えた手遊の猪口や、金米糖の壷一つも、馬で抱き、駕籠で抱えて、長い旅路を江戸から持って行ったと思えば、千代紙の小箱に入った南京砂も、雛の前では紅玉....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
して二年三年と月日がたった。そしてどうかした拍子に君の事を思い出すと、私は人生の旅路のさびしさを味わった。一度とにかく顔を合わせて、ある程度まで心を触れ合ったど....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
すかな声は私をそこから立ち上らせるに十分だ。私はその声に推し進められて行く。その旅路は長い耽溺の過去を持った私を寂しく思わせないではない。然しそれにもかかわらず....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
だえているのか? 千度ならず言うように酒をのむがいい、 一度行ったら二度と帰らぬ旅路だ。 (30) 土を型に入れてつくられた身なのだ、 あらましの罪けがれは....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
かり身に染みた、女の事が……こうした人懐しさにいや増る。…… ここで逢うのは、旅路|遥な他国の廓で、夜更けて寝乱れた従妹にめぐり合って、すがり寄る、手の緋縮緬....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
にするのが女の勤めと、固く固く覚悟されたのでした。 幾年かに跨る賊徒征伐の軍の旅路に、さながら影の形に伴う如く、ただの一|日として脊の君のお側を離れなかった弟....
暗号数字」より 著者:海野十三
くなった。 あまり時間はないが、こうふらふらでは仕方がない。ことにこれから空の旅路である。ぜひ一杯ひっかけてゆきたい。そう思った彼は、新世界をぐるぐるまわりな....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
為か、流石のお杉も執念深く追っては来なかったので、これを幸いに重蔵は又もや漂泊の旅路に上った。或時は土方となり、或時は坑夫となって、甲から乙へと際限もなく迷い歩....
西航日録」より 著者:井上円了
格別の不自由を感ぜざりしも、大陸に入るに至り、言語さらに通ぜず、はじめてまことの旅路にかかる心地せり。 今日よりは旅路の旅にかゝり鳧 四月二十七日、晴天。風や....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
峙するを望む。その形わが富峰のごとく、円錐形をなせるもの多し。 赤道の雲を隔つる旅路にて、富士のみ山の面影を見る 赤道をこえて以来、耳目に触るるもの、なんとな....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
富士が気がかりになる数日が続いた。それに引付けられて、彼はそろそろ帰り途の方向に旅路を拾うようになった。伊勢へ来たときにある雲水から馬翁が重病にかかって而も介抱....
がん」より 著者:小川未明
飛びましょう。」 若いがんたちは、いくばくもなくして、この年とったがんを冒険の旅路の案内にさせたことは、無理であり、また、気の毒であったことを感じました。けれ....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
部屋の中を見回すと、ふとん代わりのドンゴロスの袋、食器に使うゆがんだバケツ……。旅路の果てのどん底の生活であった。 私には、人間がどんなことでもできる、いかな....