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既定
「既定〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
既定の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「交尾」より 著者:梶井基次郎
とさっさと瀬のそばまで歩いて行った。すると彼らの音楽ははたと止まった。しかし私は
既定の方針通りにじっと蹲《うずく》まっておればよいのである。しばらくして彼らはま....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
た。もう、あいつの声価は決った。あいつが不意に死なない限り、文壇に認められるのは
既定の事実だ。俺は、もう仕方がないと諦め始めている。実際、俺の嫉妬を除いて考えれ....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
、旧思想、旧習慣のすべてに対して反抗を試みたと全く同じ理由に於て、この国家という
既定の権力に対しても、その懐疑の鉾尖《ほこさき》を向けねばならぬ性質のものであっ....
「弓町より」より 著者:石川啄木
香の物のごとく、しかく我々に「必要」な詩ということである。――こういうことは詩を
既定のある地位から引下すことであるかもしれないが、私からいえば我々の生活にあって....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
かかる悟性の幻覚に迷わされはしなかったか。そしてかかる悟性と見ゆるものが、実際は
既定の概念を尺度として測定されたものではなかったか。私は稀にはポーロのようには藻....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
検査するというようなことを始めることができる。そういうことをしているうちにそれら
既定の法則、従って自然に対する認識がだんだんに改良されてゆくのである。 人間に....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
にいっさいの荒々しき作業を片づける。 一、右がほぼ終ったころを見はからって俳優を
既定の位置に着かせる。本格的な演技指導がそれから始まり、進むにつれて指導は次第に....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
な感に打たれた。 Y君、あなたの善の観念はあまりに常識的である。あまりに外的で
既定的で社会的でかつ固定している。しかのみならず、その範囲があまりに狭い。あなた....
「空襲警報」より 著者:海野十三
川村中尉は不動の姿勢で、連隊長の命令書を読むのをまった。 「第○野戦高射砲隊ハ、
既定計画ニ基キ陣地ヲ占領シ主トシテ高田市附近ノ防空ニ任ゼントス。各中隊は速カニ出....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
みずみじゃありませんか。季節風の影響のない五、六月中に、探検を完了するというのが
既定の計画だとしたら風の影響などは何もないじゃないですか。むしろ、驚異の征服をな....
「倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
て来たが、そこらに群がっている人たちは左のみに動かない。講和条約の調印――それは
既定の事実だと云うような顔をしてみんな冷かに沈黙しているらしくも見えた。これが代....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
が図にのって、総攻撃に来たときに、奥の手を用いて一挙に勝利へみちびく。これが軍の
既定の作戦なんです」 亮作は口に泡をためて無数にツバをふきながら言う。野口は微....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
れません。尺八に小柄を隠して、加納さんが毒に苦しみはじめるまで、ついてまわるのは
既定の計画でありましたから。そして二人の虚無僧がいることによって、常に一人が加納....
「瘤」より 著者:犬田卯
も珍らしくなく、現在通学中の児童へ一本の鉛筆を買い与えることすら容易でないものも
既定額を出さねばならなかったのだ。そして六百何十円――約七百円近く集まった金は一....
「入れ札」より 著者:菊池寛
れ札に落ちることは――自分の信望が少しも無いことがまざまざと表われることは、もう
既定の事実のように、九郎助には思われた。不愉快な寂しい感じに堪えられなくなって来....