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既往
「既往〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
既往の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
次は、未だに知られていない半葉を中心とする、死者の世界なんだ。それから三つ目が、
既往の三度にわたる変死事件。そして最後が、ファウストの呪文を軸に発展しようとする....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
は折衷民権派より来たり、しかして改進論派は翻訳民権派の形たるに過ぎず。このゆえに
既往の沿革に対しては自由・帝政の二派は兄弟にして改進の一派とは路人の関係なり。現....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
可愛がって養育された大恩の、万分一も返す事の出来なかったのは今さら残念な事だと、
既往を懐いめぐらして欝ぎはじめましたから、兼松が側から種々と言い慰めて気を散じさ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
惨なのに気を打たれて、姿も悄然として淋しげに、心細く見えた女賊は、滝太郎が勇しい
既往の物語にやや色を直して、蒼白い顔の片頬に笑を湛えていたが、思わず声を放って、....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
たるも、暴風激浪の為めに苦しめらるる事を記憶せざるなり。然るに今や八十一歳にして
既往を回顧する時は、数十回の天災人害は、思い出すに於ても粟起するを覚うる事あり。....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
私は商業に何の経験もなくて一商店主となったものであります。従って
既往幾百年の間に、商人がその経験から受け継いで来た商売の掛引その他については、何....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
されよ」と言いしも「風邪の心地なれば」とて辞し、夜食早くしたためて床に入りしが、
既往将来の感慨に夢も結ばず。雁の声いとど憐なりし。峠を越え山を下り野にはいろいろ....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
つきては一向様子分らず候えども収支償わずとありてはもとより分別せざるべからず候。
既往の決算将来の見込につきて大略の処御報奉願候。 小生金はなけれども場合により....
「迷信解」より 著者:井上円了
稲荷より受けきたりて、その家に飼い養うものとのこと。かくして養いおけば、よく人の
既往を説き未来を告ぐるに、不思議にも当たらぬことはない。常に巧みにその体を隠し、....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
のことをうかがうに、十中六七は当たるもののごとし。しかれども、同席の一人曰く、「
既往のことはたいがい誤らざるも、将来のことは当たり難し」と。それはともかくも、同....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
力欲に駆りたてられてのことだった。一方、エリザベスはエリザベスで、こんりんざい、
既往を忘れるものではなかった。あのときの光景は、まだ胸に痛みを残している。相手の....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
目的とするをもって、旧を去りて新に就くの性あるものなり。しかるに、宗教はその真理
既往に定まるをもって、旧を守るの性あるものなり。今、日本国をして永く日本国たらし....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ありて、将来の発展必ず南米全陸を震動するに至らんこと、決して疑うべからず。これを
既往に考うるに、独立以来わずかに百年にして今日の隆運を見るは、すでに驚くに足る。....
「正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
かし、この信念と努力とを、何人にも要求して、しかも容易に得られなかった。少くとも
既往に於てそうであった。文芸が、職業化し、作品が、いよ/\商品化するに至って本来....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
わゆる「早稲田」の名のもとにおける地方について、つぶさにその変遷推移の跡を尋ね、
既往を回顧し現在を叙し学生々活の今昔をも物語る積りであったが、与えられた回数がす....