既得[語句情報] » 既得

「既得〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

既得の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
い。もしあるとすれば夫はマンネリズムということであって、夫は蓄積というよりも寧ろ既得のものの腐敗と消滅に他ならない。石のようなものではなくて火だ。燃えきって了え....
化け物の進化」より 著者:寺田寅彦
ではあるまいか。これには教育者自身が常にこの不思議を体験している事が必要である。既得の知識を繰り返して受け売りするだけでは不十分である。宗教的体験の少ない宗教家....
ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
ちろん見るべきものに直面して両眼をあけていなければならないのである。それで科学の既得の領土に隠居して、虎の子の勘定でもして楽しんでいるような人にはこの書はなんに....
俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
なければならない。風雅の誠をせめる閑日月に乏しいのは誠にやむを得ない次第である。既得の領土に安住を求むるか、センセーションを求めて奇を弄するかに迷わざるを得ない....
技術の哲学」より 著者:戸坂潤
はない。一概に云って了えば資本主義は今日技術と技術の正常な発達とを抑制している。既得の技術が原始状態にまで還元されたり、採用されなかったり、廃棄されたり、その発....
認識論とは何か」より 著者:戸坂潤
化の独立な安定したジャンルと見ることは、不可能だろう。――宗教という観念にどんな既得表象をなげ入れるのも、どんな希望や期待を投入するのも、人々の自由である。尤も....
思想としての文学」より 著者:戸坂潤
続であって、前に云った通りそれは決して常識水準を高めるものではなかった筈だ。高々既得の常識水準に足踏みする結果しか得られないわけで、学術上の論文としては何等科学....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
判ったのである。ナチ政権が如何に学芸の自由検討を許さないとしても、ドイツの学芸の既得技能が急に衰えたとは誰も考えないだろう。それにも拘らず吾々はもうドイツを文化....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
に服飾美容も一つの文化であるのだが)組合は最近当局の保護=肝煎りから解放された。既得権を有っている当業者は組合大会を開いて之に反対したが、他の方面の文化統制に忙....
科学上における権威の価値と弊害」より 著者:寺田寅彦
重なる研究者の研究の結果を up to date に調べ上げて、その題目に対する既得知識の終点を究める事は可能である。これを究めてどこまでが分っているかという境....
西鶴と科学」より 著者:寺田寅彦
はならないはずである。尤も科学者の中には往々そういう大事な根本義を忘れて、自分の既得の知識だけでは決して不可能を証明することの出来ない事柄を自分の浅はかな独断か....
魔都」より 著者:久生十蘭
林謹直が呼び込まれる。この方はさして逆上せぬかわり、皇帝の死が直ちに安南における既得利権の損害を意味するので、もう愚痴たらたら、碌すっぽ顔も見ようともせず、ひた....
小知恵にとらわれた現代の法律学」より 著者:末弘厳太郎
である。むろん理知は一八世紀このかた自然科学の発達によって得たところのわれわれの既得権である。私はこれをすてよというのではない。かえってさらにいっそう徹底して大....
二人の盲人」より 著者:平林初之輔
一 復興局の一技師の手が、大東京市の地図の上に、縦横に朱線をひいていく。個人の既得権も利害関係も、センチメンタルな詠嘆も、すべてを無視して、彼のペンは気まぐれ....
一九三七年を送る日本」より 著者:戸坂潤
可思議は、ここに秘密を持っている。当局が捻出する文化のイデーは、どれとして民衆の既得の文化意識を満足させるものがない。 日本に於ける文化ファシズム(勿論日本型....